ロシア軍の兵士不足も、いよいよ末期的な状況になってきたようだ。
ウクライナのポドリャク大統領府顧問は21日、同国の独立系放送局「ドシチ」の番組に出演。その中で、東部ドネツク州の激戦地アウディイウカ方面における戦況に触れ、過去1週間の間にウクライナ軍の攻撃により、5000〜6000人ものロシア軍兵士が死亡したとする試算を明らかにした。
アウディイウカは、ドネツクの北15キロに位置する最前線で、ウクライナ軍はその地域を「抵抗の合言葉」と呼び、反転攻勢で象徴的な意味を持つ場所だとされる。
「ロシア軍としては冬場に入る前に、何がなんでもウクライナの攻勢をくじいておく必要がある。そのためここ1週間ほどは、アウディイウカとさらに南方のマリンカ方面で連日激戦が繰り広げられ、両軍の間に多くの死傷者が出ている模様です。22日にはゼレンスキー大統領が同地を訪れ、前線の兵士らを激励していますが、今後も戦闘が激化することは間違いないでしょう」(軍事アナリスト)
1週間で6000人の死者が事実であるなら、ロシア軍の兵士確保は一刻の猶予も許されない状況であるはず。と、そんな中、ロシア国防省系の民間軍事会社が、女性戦闘員の募集を始めたと独立系メディア「バージニエ・イストーリー」が報じ、話題になっている。
「SNS『フコンタクテ』に女性兵士募集の広告を出したのは、『レドゥート』という、ロシア国防省が事実上管轄する民間軍事会社。募集内容は狙撃手部隊とドローン部隊で、給与は22万ルーブル(約35万円)から。契約は半年間ですが、戦闘経験がなくても可能。採用された場合は、ウクライナ東部ドネツク州で1カ月の訓練をしたのち、戦場に出るというものです。記事によれば、狙撃手部隊はまだ募集中であるものの、ドローン部隊の募集枠についてはすでに埋まっているのだとか。ウクライナへの侵攻前、2021年の時点でロシア軍に所属する女性兵士は4万人と推定され、90万人いる兵士の約5%と言われていました。今回の募集で成果があれば、今後は軍としても女性兵士募集に力を入れることになるでしょうから、最前線で戦闘任務にあたる女性が増えることになるでしょう」(同)
まさに、勝つためには猫の手も…というプーチン大統領のなりふり構わぬ姿勢が見て取れるが、かねてから問題視されてきたのがロシア軍内での女性兵士たちへのパワハラ、セクハラ問題だ。昨年3月には、女性帰還兵が上官から受けた「性奴隷」「戦地妻」強要を、ラジオ・フリー・ヨーロッパで涙ながらに告白し、世界に大きな衝撃を与えた。
「女性はロシア軍に11年間勤務した後、2017年に退役。その後、子供を養うためウクライナでの戦争の衛生兵に志願したそうですが、戦車小隊の大佐からしつこく『戦地妻』になるよう求められ、断ると虐待を受けたり、最終的には危険な最前線に送られたといいます。戦地では同様のセクハラ行為は後を絶たず、性被害を受けたことで帰還後もPTSDを発症する元女性兵士は少なくない。ただ、悲しいかな、常に生と死が交差する戦場という極限の場所では、ある意味それも偽らざる現実でもある。人間の理性そのものを失わせてしまう場所、それが戦場だということです」(同)
いったいいつまでこんな不毛な戦いは続くのか。「戦争犯罪人・プーチン」の罪は重い。
(灯倫太郎)