マジかっ!虫歯放置でガンになる(2)脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす歯周病

 さらに松下部長は歯周病についても警鐘を鳴らす。歯周病を放置し、歯周病菌が口内にたくさんいる状態が続くと、前述のミュータンス菌同様、大病を招くことになるというのだ。

「様々な研究グループが報告していますが、大腸ガンの患者さんの大腸には歯周病菌の『フゾバクテリウム・ヌクレアタム』が多い。この菌がどこからきているのかというと、恐らく口内からだろうと。食べ物と一緒に大腸の中に入り、大腸に定着したのではないか、と言われています」

 これまでは、そういった菌は通常、胃酸で死滅すると言われてきたが、近年の研究では、消化不良の食べ物にくるまった菌が、生きたまま腸に流れて定着してしまうことが考えられているという。

「そもそも、菌自体が何億個もありますからね。その中の数%でも生き残ってしまったら、それだけですごい数になります。大腸は酸素が少ないので、酸素が少ない場所を好んで生息するこの菌にはうってつけなのかもしれません」

 さらに歯周病菌の中には、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしやすい菌も存在する。

「動脈硬化が起こった血管から歯周病菌の『Pg菌』が頻繁に見つかったことが報告されています。この菌は血管に定着しやすい性質を持っているのですが、通常は激しく流れる血液に流される一方、血液の流れが淀んでいる動脈硬化を起こした血管には、とどまってしまうのです」

 このPg菌は、血液凝固を促進する作用がある。つまり、この菌が血管を巡ると血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるわけだ。

 そもそもなぜ、口内の菌が血管に巡るのか。

「歯周病の症状と密接な関係があります。歯周病の症状の1つに歯茎からの出血があります。こうした傷ができることで、血管の中に細菌が侵入することを『菌血症』と言います。歯周病の方たちはまず第一に、この菌血症を防がなければなりません」

 防ぐためには口内環境を整える以外に方法はないそうだが、できれば手間のかからない方法が知りたい。そこで松下部長が教えるのが「食前のデンタルリンス」だ。

「歯周病が進行して出血が頻繁に起こると、食事中でも出血します。そこで、食前にデンタルリンスでうがいをして、殺菌してあげるわけです」

 デンタルリンスを30秒ほど口に含みすすいだ後、水で再度すすぎ、その後食事をするだけで、菌血症のリスクは下がるという。これならば外食の時でも気軽にできそうだ。

 さらに出血は歯磨きでも起こることから「歯磨き前のデンタルリンスも推奨したい」と松下部長。

 なお、オススメのデンタルリンスは、殺菌成分である「CPC(塩化セチルピリジニウム)」などとともに、止血・消炎作用を発揮する「トラネキサム酸」「ε(イプシロン)-アミノカプロン酸」などが配合されていれば文句なし。

「これを3カ月ほど続けつつ、歯周病の治療も進めていけば、かなり口内環境が改善されると思います」

 デンタルリンスには虫歯の原因菌の殺菌作用も含まれているため、当然ながら虫歯予防にも最適なのだ。

 さらに歯磨きは、手磨きよりも強力そうな電動歯ブラシが効果的かといえば、一概には言えないようで、

「電動の方がキレイにはなりますが、研磨剤入りの歯磨き粉を使って磨くと、象牙質が削れてしまったり、歯茎が下がったりして知覚過敏症を引き起こす可能性があります」

 電動歯ブラシを使用する際は、歯磨き粉を使わずに磨く方がよさそうだ。

「できればやっていただきたいのが、食前や歯磨き前のデンタルリンス、歯磨き、そして最後に歯間ブラシやフロスで歯と歯の間をキレイにする。仕上げに再度デンタルリンスですすぎができたら理想的ですね」

 お口の病気は万病のもと。面倒くさがらず、口の健康を見直してみよう!

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