吉野家ホールディングスは11日、2024年2月期(23年3月〜24年)通期の営業利益予想を上方修正し、株主への配当金も増額すると発表した。これを受けて株価も上昇し、上場来高値を更新したが、「吉野家」は先日値上げしたばかりだったこともあり、ネット上には様々な意見が寄せられている。
「同社は24年2月期通期の営業利益予想を、4月12日に発表した際の46億円から68億円へと上方修正しました。好調の要因は、新型コロナの規制緩和に伴う社会経済活動の再開による人流の増加や各事業の客数獲得に向けた販売施策が奏功したといい、売上高が大幅な増収となったと説明しています」(経済ジャーナリスト)
ただ、吉野家は今月2日に牛丼や豚丼など主力商品を値上げしたばかりで、牛丼並盛は3年連続の値上げとなっているため、原材料価格高騰や物流費、人件費の上昇の影響を理由とする値上げは本当に必要性だったのかと訝る人もいるようだ。なお、飲食業界では昨年2度の値上げを実施した「CoCo壱番屋」を運営する壱番屋も通期業績予想を上方修正しており、昨年と今年で3回値上げした「マクドナルド」を運営する日本マクドナルドは上期として過去最高の営業利益を記録、「すき家」を運営するゼンショーホールディングスも23年3月期の営業利益が11年ぶりに過去最高を更新している。
「飲食業界に限らず、値上げを実施した企業で業績予想の上方修正や最高益の更新などの発表が相次いでいます。これに対して『ちょっと複雑』とネガティブな声もあるようですが、値上げしても引き続き利用してくれる人が多くいたということの証明でもあるわけです。企業の利益が増えるということは、働く人たちに還元される可能性も高まるわけですから、ポジティブな状況と捉えた方がいいでしょう」(同)
なお、2023年度の賃上げ実施企業は過去最大の84.8%だったという。
(小林洋三)