20億円かけて刷新も…ファミマおにぎり「ステルス値上げ」のフェイク被害

 ファミリーマートは10月3日からプライベートブランドの「ファミマルKITCHEN」の「手巻きおむすび」を刷新。人気定番の「紅しゃけ」「辛子明太子」と新商品「とろうま卵黄風そぼろ」「明太マヨクリームチーズ」の4商品を“ふっくら食感に、たっぷり満足感”として大々的に投入したのだが、SNSでフェイク情報の被害に遭ってしまった。

 Xユーザーが「ファミマのおにぎりすげー崩れやすい」「ぼろぼろこぼれるのは俺の食べ方が悪かったからじゃなかったのか」などとつぶやくと、噂が噂を呼び「ファミマのおにぎり、なんか密度下がってる?米減ってない?スカスカ感がすごいんだけど?」「噂のファミマのおにぎり食べてきたらマジでスカスカですねぇ」…と、悪評が拡散したのだ。

「致命的だったのは、原因を突き止めたとばかりに『いらんことしよって』とのコメントと共にファミマが新商品の説明をしているページをアップした投稿でした。そこには新商品のリニューアル前と後のおにぎりのCTスキャン画像が添えられていたのですが、見た目がご飯粒の間に空間があり『スカスカ感』を感じさせるようなものだったため、あたかもステルス値上げが行われたかのような印象を与えてしまったのです」(経済ジャーナリスト)

 ところが実際には、厚みが増しているため量は変わっておらず、むしろ具材の量は増えている。また、告発者がスカスカと指摘したおにぎりには今回のリニューアル品とは違うものもあって、根拠のない「個人的感想」であることが他の投稿者によって指摘された。結果、フェイク情報が拡散していたことが明らかになったのだ。

「ファミマでは21年10月にPBを『ファミマル』に統一し、24年度には売上比率を全商品の35%にすることを目標にしていました。この目標は今年8月に前倒しで達成され、展開は順調そのもの。そして2周年に向けて打ち出したのが『手巻きおむすび』のリニューアルです。今回登場した新たなおにぎりの成型機は、20億円をかけて13年ぶりに刷新したもの。ふんわり感にこだわった秘密兵器だったにも関わらずこの事態ですから、開発者もファミマも浮かばれませんよ」(同)

 現在では手巻きのおにぎりのふっくら感に感動する声も増えてきたが、たしかに実物に接する前なら、他人の感想を鵜呑みにすることは誰しもあるだろう。いかにもSNS時代の風評被害の恐ろしさを象徴した珍事だといえる。

(猫間滋)

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