12月1日、ヤンキースがアーロン・ジャッジに再アタックし、「8年総額3億ドル」(約400億円)を提示して残留を訴えた。今季のア・リーグMVP、シーズン62本塁打でリーグ記録を更新した主砲の流出をなんとしてでも防ぎたい構えだ。
「SFジャイアンツもジャッジ獲得に本腰を入れています。ジャッジも現地入りしており、交渉のテーブルについたとの情報が駆け巡っています。ヤンキースがそれに危機感を強めたのでしょう」(米国人ライター)
今や、米プロ野球のメインニュースは、常にジャッジの去就問題だ。進展がなくても、ヤンキースやジャイアンツの球団首脳陣がひと言コメントしただけで、大々的に報じられる。たとえ昨日と同じことを言っても…。
しかし、ジャッジへの高額提示について、冷静な見方も出始めた。
「エンゼルスを除くMLB29球団、そして米メディアは、来年オフ、大谷翔平がフリーエージェントになると読んでいます。見方を変えれば、ジャッジを獲得したチームは『大谷争奪戦』には参加しないとも解釈できます」(ア・リーグ中部地区スカウト)
複数年契約を結ぶ中心選手に対し、チームがその最終年のシーズン途中に新契約を提示して残留を求めるケースもある。だが、ジャッジはヤンキースが2022年シーズン序盤に提示した新年俸を蹴り、他球団の評価も聞いてみることを選択した。この場合、今季活躍できなければ、あらためて提示される年俸が下がってしまう可能性があった。だが、ジャッジは大活躍。結果的にその選択が、球団からの残留条件をさらに高めたとも言える。
「大谷の代理人もこの『ジャッジ式の交渉手段』を取ると目されているのです。そうなれば、FAになれば最低でも5000万ドル(約67億円)からの交渉スタートとなるでしょう」(前出・米国人ライター)
メッツ、ドジャースなどがジャッジ争奪戦から距離を置いたのは、「本命・大谷」との交渉に備えるためとも言われている。
現時点でメジャーリーガーの最高年俸は、メッツのマックス・シャーザーで4330万ドル(約58億円)。来季は年俸3000万ドル(約42億円)で1年契約した大谷が、その記録を塗り替えるのも時間の問題のようだ。
(スポーツライター・飯山満)