性的同意アプリ「キロク」リリース延期、指摘される改善点とは?

 男女の健全な関係を育むため、性的な交渉に関して同意を記録するアプリ「キロク」。当初は8月25日にリリース予定だったのだが、開発会社は年内リリースに変更して延期すると発表した。同アプリは8月16日に配信が発表され、ネット上で大きな話題になっていたが、社名や監修弁護士名がないこと、悪用の危険性があることなどから批判的な意見も多く寄せられていた。

「同アプリは、今年7月に性犯罪に関する刑法が改正され、『不同意性交等罪』が新設されたのをきっかけに開発されたといいます。不同意性交等罪は“同意のない性的行為”を処罰するもので、双方の認識の違いが生まれないように性的行為をお互いに同意したことを記録するアプリになっているのです。使い方としては、アプリに表示されるQRコードを相手のスマホで読み込んでもらい、いくつかの項目を確認し、同意ボタンを押してもらうことで、双方のアプリに記録が残る仕組みになっています」(社会部記者)

 この「キロク」には予想を上回る先行登録希望者が集まっていたというが、その一方で脅されて同意を強制された場合やお酒を飲んで酩酊している状態で正確な判断ができないままで同意してしまうケース、性的行為を同意した記録が漏洩してしまう危険性などを懸念する声も少なくない。なお、開発企業によると、悪用されないための対策機能など事前に寄せられた意見をシステムに反映するためリリース日を延期したと説明している。

「不同意性交等罪に問われないためのアプリということですが、どうやら当初は同意の強制への対策機能などは用意されていなかったようなので、リリースを延期して良かったのではないでしょうか。今年1月には実業家の前澤友作氏が監修したシングルマザー用マッチングアプリ『コアリー』が、子供に対する性的虐待や接近禁止命令が下された元配偶者などに身元を調べられてしまう危険性があるなどの意見が寄せられ、リリースからわずか1日で配信停止になったこともありました。こうした、出会いや性的行為に関するアプリが出ると、必ず悪用しようとする人間が現れるものですから、信用して利用してくれた人たちを危険に晒すことのないようにしてもらいたいものです」(フリージャーナリスト)

 誰がどのように使うか想定し、安全対策は徹底してリリースしてほしいところだ。

(小林洋三)

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