行き先は同じでも利用する航空会社や購入したサイトによって金額が大きく異なる海外航空券。ネット上には「Googleフライト」や「スカイスキャナー」といった一斉検索サイトもあり、激安航空券を探すのに便利だ。
ただ、実際に検索すると、近場よりも遠方の都市に向かうチケットのほうが安いというケースがある。そこには需要と供給のバランス、競合エアラインの存在など複数の理由があるようだが、実はこの「カラクリ」の盲点を突いた激安航空券入手の裏ワザが「スキップラギング」だ。
例えば、東京からバンコクに行きたい場合、通常はこの区間の航空券を購入するが、時期によってはバンコク乗り継ぎで第三国に向かう航空券のほうが安い場合がある。その際、あえて第三国行きの航空券を購入し、バンコクから先の区間には搭乗しないのだ。いわば反則技のような方法だが、海外でこれを実践する外国人旅行者は少なくない。
「スキップラギングは数年前から1円でも出費を抑えたい若者や、バックパッカーの間で流行り始めましたが、航空会社はこのようなやり方を認めていません。LCC以外のエアラインは搭乗名簿の乗客が来なければ待ちますし、その結果、出発や到着が遅れることもあります。つまり、航空会社のみならず、他の乗客にも迷惑をかけることになります」(旅行誌編集者)
また、スキップラギングを利用する場合、荷物を預けると最終目的地まで行ってしまうので機内持ち込みが絶対条件となる。しかも、搭乗しなかった時点で復路のチケットもキャンセル扱いになってしまうので、基本的には片道航空券でのみ有効な手段と思ったほうがいい。
「特に米国内や欧州内はこの方法で安くなる区間が数多く存在し、欧米圏で移動するには便利です。海外にはこの裏ワザ航空券の販売サイトもありますが、アメリカン航空はこのサイトを運営する会社に対して訴訟を起こし、利用者にも3年間の搭乗禁止処分を科しました。アメリカン航空は、全てのフライトを利用するつもりがないのに料金を低くするためにチケットを購入することは、運送約款にある利用条件の違反であるとしています。確かにスキップラギングは『航空会社との契約違反』であり、航空会社で対応は分かれますが、厳しく取り締まるところが増えていますね。一度でも利用してしまうとブラックリスト入りする可能性が高いので注意が必要です」(前出・編集者)
航空券は安く手に入るかもしれないが、高いリスクも伴うことは知っておくべきだろう。