「総理秘書官を辞めてからは、こっちの事務所に戻って支援者まわりなどをすると聞いていたのですが、いったい何をしているのやら…。広島事務所に詰めているわけでもないし、後援会の会合に顔を出したという話も聞きません。周囲からは『外遊好きの父親にならって、海外で長期休暇でも取っているのか』なんて冗談も聞こえてきますよ」
岸田文雄総理の長男・翔太郎氏の「雲隠れ」を指摘するのは、後援会の関係者だ。翔太郎氏といえば、昨年10月に父である総理から「適材適所の観点から総合的に判断した」とのお墨付きを得て総理秘書官に就任。ところが、外遊先で公用車の“私的使用疑惑”や、官邸でのバカ騒ぎ忘年会が発覚するなど、数々の問題を起こして、今年6月1日付で事実上のクビ宣告を受けていた。政治部記者もこう話す。
「東京に置いていたら、またどんな問題を起こすかわからない。年収1000万円超と言われる総理秘書官の座は失ったものの、岸田事務所の私設秘書という肩書きで“再就職”したと聞いています」
ゆくゆくは岸田総理の地盤を引き継ぐと見られる翔太郎氏は今どこに…。地元・広島で取材にあたったが、冒頭のように、なかなか動向が伝わってこない。一方で、驚かされたのが、総理の外遊中にもかかわらず、私邸の周辺がものものしい「超厳戒態勢」が敷かれていたことだ。私邸の入り口には、総理就任前から警備派出所が設置されていたが、私邸の周囲ではいたるところでパトカーや制服警官の姿を目にする。背後から見下ろす位置にある公園内にも、複数の警察官が配置されていた。繰り返すが、岸田総理は不在。裕子夫人も総理とともにヨーロッパを歴訪中で、長男・翔太郎氏は“雲隠れ状態”にもかかわらずだ。
「たとえ当人や家族が不在でも、大臣クラスになれば警備派出所に警察官が24時間体制で配備されます。総理ならば増員して当然。安倍晋三元総理の銃撃事件では奈良県警の本部長が引責辞任していますし、ましてや4月に和歌山での演説中に爆発物が投げ込まれる事件が起きたばかりです。広島県警としては、広島サミット後、警備課内に警衛警護室を新設したばかり。もしも私邸に何かあれば、県警上層部の責任が問われますから、念には念を入れてのことでしょう」(県警関係者)
支持率がダダ下がりでも、警備の手を緩めるわけにはいかないのだ。
(倉田はじめ)