「ゴルフボールで車体ボコボコ」のビッグモーター、社長の報酬1年返上で火に油!

 中古車販売大手のビッグモーターが、事故修理車の保険金を水増し請求していた問題は、18日に兼重宏行社長が報酬全額を1年間、副社長ら4人の幹部も報酬の10〜50%を3カ月返上すると発表したが、ネットやSNSでは「刑事事件の可能性もあり」「組織的な保険金詐欺」「代理店廃止の事案に該当」とまで糾弾され、その指摘が妥当なのかはともかく、完全に火消しに失敗。むしろ火に油を注いだかっこうになっている。

「元々は21年秋に情報提供があったことが発端。当初は組織的な不正はないとしていたものの、そうでないことが判明。今年3月に行政処分が下って、通常ならばその前の1月に発足させていた第三者による特別調査委員会の報告を受けて、コンプライアンス遵守の徹底を掲げて組織改革を進めれば何とか事態の収束を図れるところが、表に出てきた報告書は都合の悪い部分を割愛。上場企業でないのをいいことに、報告書についてもHPで目立たないように出していたことで完全に地雷を踏んでしまいました。報告書の全文がすぐに外部に漏れて、隠ぺいを図ろうとするような組織の姿勢が完全に表ざたになってしまったのです」(経済ジャーナリスト)

 なにしろ報告書の伏せられていた部分には、「ヘッドライトのカバーを割る」「ドライバーで車体をひっかいて傷をつける」「ろうそくやサンドペーパーを用いて車体に傷をつける」「ゴルフボールを靴下に入れて振り回して車を叩く」といったことが行われていたというのだから、極めて悪質だ。

 こういった手段で修理代を水増しして、損保会社に請求。現場の工場長らの指示で行われていて、幹部は内部通報を黙認していたというのだから、先の全社的な隠ぺい体質も併せて、斉藤鉄夫国交大臣も「言語道断」と、まるで吐き捨てるようだった。
 
 そこに至ってトップが報酬返上を発表しても、どうしたってタダでは済むはずがない。

 ネット上には、あの「車を売るならビッグモーター」のおなじみのCMについても、「もう止めるしかない」「佐藤隆太が犯罪の片棒を担がされているみたいで草」などと周辺にまで火の手が広がっている。
 
 またこの問題の根っこには「アット」と呼ばれる営業ノルマがあり、その存在を認識しながら同社に深く関わった損保ジャパンの姿勢を問う声もあり、今後はこちらへの延焼がどこまで広がるかが注目される。

(猫間滋)

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