今年4月の米経済誌「フォーブス」の発表によれば、この2大巨頭の個人資産の合計は約33兆円に上るという。ツイッター社を買収したカリスマ経営者と、フェイスブックの創始者による、SNSの垣根を越えた格闘技ビッグマッチが耳目を集めている。
発端はマーク・ザッカーバーグ氏(39)がCEOを務めるメタ社が、ツイッターの競合アプリ「スレッズ」を開発したことだった。6月21日(日本時間)、これに反応したイーロン・マスク氏(52)に、別のユーザーが「気を付けて。彼は柔術をやっています」と警告したのだが‥‥。その後の展開を国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「『彼が望むなら、ケージの中で戦おう』と、ライバルに〝金網マッチ〟でのリアルファイトを提案したんです。当然、ファンを喜ばせるためのネタ発言だったのでしょうが、これにザッカーバーグが『場所を送ってくれ』と反応。イーロンも『ラスベガスのオクタゴンで』と返し、一気にヒートアップしていきました」
その後、「世紀の一戦」を賭けの対象にするブックメーカーが現れる始末で、メタ社の広報が取材に「マークはふざけていない」と回答した、というから二度ビックリ。思わず耳を疑ってしまうが、どうやら2人は本気のようなのだ。山田氏いわく、
「ザッカーバーグはコロナ禍の時期にブラジリアン柔術にハマり、この5月にも柔術の大会に出場してメダルを2つ獲得したそうです。一方のイーロンについても、総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイト代表がインタビューで彼の柔術経験を明かし、『母国の南アフリカでハードなストリートファイトをやってきた。負けるはずないよ』という本人の証言を紹介したんです」
最新の世界長者番付では、2位のイーロン氏に対しザッカーバーグ氏は16位と少々差は開くが、実際に戦えばランキングがひっくり返るかもしれない。2人のガチバトルを緊急シミュレーションしてみると‥‥。
16年リオデジャネイロ五輪の男子レスリング・グレコローマンスタイル59キロ級で銀メダルを獲得し、現在は「RIZIN」に参戦する総合格闘家の太田忍氏は、あの伝説の試合に酷似した展開を予想する。
「仮にタイプを分類するなら、ストリートファイトでならしたイーロンは打撃を主体にする『ストライカー』、柔術のトレーニングを積んだザッカーバーグは、寝技や関節技を駆使する『グラップラー』だと思います。つまり、グラウンドに持ち込みたいザッカーバーグと、それを牽制するイーロン、という構図で互いのスタイルがかみ合わず、『アントニオ猪木対モハメド・アリ』のように膠着した試合になるかもしれません」
76年の〝死闘〟はブーイングにまみれてドローに終わったが、どうすれば観客、視聴者を楽しませる試合になるのか─。
(つづく)