経営難で廃業する住職や神主も…神社仏閣の「合併・解散」が急増中だ!

 全国に約5万7000店舗あるコンビニだが、それよりも圧倒的に多いのが神社仏閣である。文部科学省「宗教統計調査」によると、22年度時点で15万6075箇所(神社8万673社、寺院7万5402寺)となっている。

 ところが、10年前(12年度)の15万8779箇所(神社8万1377社、寺院7万7402寺)と比べると約2700箇所も減少していることがわかる。02年度(15万8441箇所)から12年度にかけての10年間では338箇所増えているため、この10年は激減と言ってもいい状況だ。

「日本の人口は08年をピークに以降は減少の一途を辿っています。加えて、もともと寺社は飽和状態で、放置同然のところも多かった。それでも維持費は発生することから業界的に縮小の流れとなり、この10年で一気に『合併・解散』が進んだのです」(宗教ジャーナリスト)

 近年では寺社の土地建物なども含めた宗教法人の売買ビジネスが盛んに行われ、6月22日に「報道newsランナー」(関西テレビ)が放送した取引の仲介ブローカーへのインタビューは大きな話題となった。

 ちなみに宗教法人は収入が年間8000万円以下なら非課税で固定資産税はかからず、相続税も基本的に発生しない。さらに外国人でもOKのため、資産家による「取引」は人気だという。

「ただし、彼らは節税対策用に宗教法人が欲しいだけ。真面目に寺社を運営しようとするケースは少ないですね。なにより寺社の減少に伴い、廃業する神職関係者や僧侶も増えています。責任者である宮司や住職は『儲かる仕事』と見られがちですが、収入的には少数の勝ち組と大勢の負け組に二極化しているのが現状です」(前出・ジャーナリスト)

 実際、現役僧侶でジャーナリストの鵜飼秀徳氏も、19年に「プレジデントオンライン」で「全寺院の4割は年収300万円以下」と厳しい経営事情を明かしている。また、神職の平均収入も300万円前後と言われており、決して高くない。

「特にコロナ禍で参拝客が減ったことで、賽銭やご祈祷料、お守りなどの授与品、御朱印といった収入が激減しました。寺院の場合は、高齢化の影響で檀家の数が年々減っていることも経営圧迫の要因となっています。おそらく今後も廃業して転職したり、普通の仕事を兼業する人は増えるでしょう」(前出・ジャーナリスト)

「坊主丸儲け」という言葉はもはや死語なのかも…。

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