「爆縮」潜水艇に“使用期限切れ”航空機素材…タイタン運航会社CEOのド素人っぷり

 北大西洋に沈む豪華客席タイタニック号の探索ツアー中、水圧で圧壊したとみられる潜水艦「タイタン」の残骸が28日、カナダ・ニューファンドランド州のセントジョンズ港に引き揚げられた。CNNやロイターなどの報道によれば、残骸の中から遺体の一部とみられるものが見つかったという。

 タイタンは、北大西洋の約3800mの海底に沈むタイタニック号見学のため、潜航中、18日から消息が途絶えていたが、専門家らは巨大な圧力によって船体がバラバラになり、5人の乗員は瞬時に亡くなった可能性があると推察。今後、捜査当局により詳細な分析調査が始まることになる。

 このニュースで使われる「圧壊」「爆縮」という言葉、一般的にはあまりなじみのないものだが、

「タイタンは2時間半ほどの時間をかけて水深3800mまで潜る予定でしたが、潜水開始から1時間45分後に消息を絶ち、数時間後に同2400m付近で壊滅的な水圧がかかり、爆発が起きたとされています。水深2400mまで沈んでいたとなると、タイタンの外壁にかかっていた水圧は単純計算で240気圧。これは、指先1平方センチに240キログラムの圧力が掛かるのと同じで、不具合のあった船体は一瞬にして押しつぶされ、船室になだれ込む莫大な圧力でバラバラに破壊された可能性が考えられます。オーシャン・ゲート社では、タイタンの船体に航空機用カーボン素材を使用していたようですが、ボーイング社から使用期限切れの素材を大幅安値で購入して製造したという報道もあります。これが事実であるなら、逆に今まで事故が起こらなかったことのほうが奇跡と言えるかもしれません」(船舶に詳しいジャーナリスト)

 一方、タイタニック号の残骸は、110年間も圧壊されずにほぼ原形をとどめる形で海底に沈んでいる。これはどうしてなのだろうか。

「本来であれば、圧縮されれば小さな球状に近づいていくはずですが、タイタニック号の場合は船体が分厚い金属でできているため、極端な力にも耐えることができ、四方八方、すべての角度から船体に水圧がかかることで、逆に力が釣り合い形状が維持できています。引き上げられたタイタンの破片も、バラバラになってかかる圧力が均等になると、形状を維持できます。このある程度保たれた残骸を調査することで今後、原因が明らかになっていくと思いますが、少なくともタイタンは深海に潜るに能う十分な構造を持ち合わせておらず、オーシャン・ゲート社のCEOは水圧の恐ろしさをまったく理解できていなかったということでしょう」(同)

 これで料金3500万円をとっていたしたら、とんでもない話。亡くなった観光客が不憫でならない。

(灯倫太郎)

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