夏場以降、徐々にではあるが出張で東京〜新大阪間の新幹線を利用するビジネスマンが増えてきた。ただし、ほとんどの会社は大阪であれば仕事が夜遅くや翌日に及ぶケースなどを除き、基本的には日帰りと定めている。それでも出張先から直帰OKにしているところが多く、東京行きの戻りの新幹線で缶ビール片手にくつろいでいる姿はおなじみの光景だ。
もちろん、直帰であれ大阪の街で一杯引っかけてから帰る人もいると思うが、新大阪発東京行きの最終ののぞみは21時24分発。だが、これだと東京に着くのは23時45分で翌朝はかなりキツい。
そんな中、コロナ前から一部のビジネスマンから帰京の足として密かに支持を集めているのが「サンライズ出雲・瀬戸」だ。東京と山陰の出雲市、四国の高松を結ぶ、毎日定期運行している最後の寝台列車として鉄道ファンや旅行客からの人気も高い。
東京発の下り線は関西の主要駅を通過してしまうが、東京行きの上り線は三ノ宮(0時13分発)、大阪(0時34分発)にそれぞれ停車。これだと東京着は翌朝7時8分と始発の新幹線や飛行機よりも早い。カフェなどに立ち寄って朝食をゆっくり済ませてからでも会社には十分間に合うし、朝イチから会議があって早く出社しなければいけない場合でも安心だ。
ちなみに「サンライズ出雲・瀬戸」は大半が個室。最も数が多いシングルを利用した場合、運賃と特急料金、寝台料金の総額は大阪〜東京で1万9570円。新大阪〜東京ののぞみ指定席の1万4720円(※いずれも通常期の料金)に比べれば高いとはいえ、大阪市内のビジネスホテルに1泊するよりは安上がりだ。
それに大阪などの主要出張先は、実費精算ではなく「大阪なら〇万円」といった具合に規定額を支給する会社も多い。そうしたこともサンライズを利用する出張客が多い背景のひとつにあるようだ。
とはいえ、学校が休みの時期や週末などは満席の日も多いが、平日なら空いていることも。特に現在はコロナで利用客が減っているため、いつもよりは確保しやすいはずだ。
とんぼ返りになりがちな日帰り大阪出張だが、寝台列車利用で大阪の夜を満喫してみるのも一興だ。
(高島昌俊)
※各列車の発着時刻はいずれも20年10月末時点のものです