「ジェンダーレス水着」が中学校で本格採用「体型が隠れてV字じゃないのがいい」

 プールの授業で着用する学校指定の水着と聞いて、多くの人が思い浮かべるスクール水着。しかし、最近は時代の流れに合わせて、そのデザインも変化している。

 都内の水泳用品メーカーは、ジェンダーレスをコンセプトにした性別に関係なく同じデザインの「男女共用セパレーツ水着」を開発した。昨年、都内と兵庫県の公立中学校3校で試験的に導入され、新聞やテレビでも取り上げられていたが、4月に本格的な発売を開始した。

 色は紺一色で、上半身は長袖のTシャツ風、下はハーフパンツで、どちらも身体にピッタリと張り付くようなタイプではなく、ゆとりのあるデザインだ。上着には水中での「めくれ」防止のためのループがつき、必要であればパッドも差し込めるという。また、下半身にはインナーパンツが付き、撥水加工された生地は紫外線も防止する。

 ちなみに学校関係者や保護者の反応はおおむね好評だという。かつて女子生徒が体育の授業の際に着用していた体操着も反対運動がきっかけで90年代には全国的に廃止になったことを考えれば、当然の流れと言えるかもしれない。

「従来のスクール水着はボディラインがはっきりと出てしまい、下の部分もV字型で思春期の女子生徒の中には『恥ずかしい』『着たくない』と拒否反応を示す子が多かったんです。ジェンダーレス水着はそうした抵抗感も解消されています」(教育専門誌編集者)

 では、実際に着用することになる中学生たちはどう思っているのか。筆者が複数の生徒に話を聞いたところ、ほぼ全員が「こっちのほうがいい」と好意的に捉えていた。ただし、まったく不満がないわけでもないようだ。新水着の存在をニュースで知ったという女子中学生Aさんは次のように話す。

「体型が隠れるのはうれしいけど、なんかデザインがビミョーすぎる。スク水だから仕方ないかもしれないけど…」

 同様に別の女子生徒からも「ダサい」「見た目がイマイチ」などデザインに関しては厳しい意見が相次いだ。また、現役水泳部員だというBさんからは、「生地と密着していないから水がたくさん入ってきて泳ぎにくそう」という懸念も聞かれた。

「確かにこのデザインは競泳には適さないでしょう。でも、授業では競泳のようにタイムを競うわけではないため、それほど問題にはならないと思います」(前出・編集者)

 全ての生徒を満足させるような水着は難しいだろう。重要なのはまさにジェンダーレスなデザインであり機能なのである。

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