2023年ペナントレース開幕まで、あと10日ほど。しかし、岡田阪神はスロースタートとなるかもしれない。そんな不穏な空気が漂い始めたのは、3月19日の東京ヤクルトとのオープン戦だった。
「先発の才木浩人がオスナに2ランを浴び、そこで試合が決まりました」(在阪メディア)
岡田彰布監督は期待の若手として、才木、浜地真澄両投手の名前を挙げてきた。監督を失望させた理由はその1人が4回3失点と結果を出せなかったからではない。“正捕手”問題と、配球面の懸念が浮上してきたからだ。
「梅野隆太郎が正捕手として、チームを牽引していく予定です。岡田監督も『梅野で』と何度も話してきました」(同前)
その梅野が右ヒジに違和感を訴えたのは、2月25日だった。「たいしたことはない」「順調」と梅野自身は記者団に答えてきたが、開幕直前のこの時期になって、スタメンマスクを坂本誠志郎に譲る機会も多くなってきた。
関西で活動しているプロ野球解説者がこう続ける。
「西勇輝が先発した3月14日、開幕投手に決まった青柳晃洋の先発した17日は、スタメンマスクは梅野でした。19日は坂本の状態を確かめておく事情もあったのかもしれませんが、梅野の右ヒジは伝えられている以上に悪いのかもしれません」
才木が2ランアーチを浴びたとき、マスクを被っていたのは坂本。結果論ではあるが、2ストライクと追い込んだ後の被弾だ。打たれたのは、ストレート。バッテリーは「裏の裏」をかいたつもりだったのかもしれないが、オスナはまっすぐを狙っていた。
「岡田監督は配球に厳しいんです。試合後、『なぜこのカウントで?』と具体的な場面を挙げて、投手コーチ、バッテリーコーチたちを叱ります。当然、配球を組み立てた捕手もいっしょに」(前出・プロ野球解説者)
また、コーチたちが試合中にデータ表を見返すことも嫌うという。
岡田監督のハイレベルな野球観に若いコーチたちがまだついていけないようだが、梅野の重症説が本当なら、阪神は「配球ミス」で落とす試合も出てきそうだ。岡田監督はベンチから配球サインを出す?
(飯山満/スポーツライター)