“ツイッター沼”は底なし!? イーロン・マスク「資産世界一奪回」でも大苦境

 確かにかつては時代の寵児だったが、昨年にツイッター社を買収してからはツイッターが迷走しまくりで、さすがにやり過ぎた感があったイーロン・マスク氏。昨年12月には資産世界一の座を、仏ブランドグループLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)会長のベルナール・アルノー氏に奪われていたものの、ここに来てまた資産世界一に返り咲いた。

「日本時間の28日に、株価とその保有量から企業トップなどの資産をランキング化しているブルームバーグのビリオネア指数で、マスク氏がアルノー氏を抜いて再び資産世界一の座に返り咲いたのです。マスク氏の資産は1871億ドル(約25兆4900億円)で、アルノー氏は1853億ドル。理由はテスラ株が値上がりしたからです。マスク氏はツイッター社を買収するためにテスラ株を放出して、それがマーケットで好ましく思われず、昨年はテスラ株が半値近くまで下げていました。ところが今年に入り70%も上昇。1月6日には100%も上げたことがあります」(経済ジャーナリスト)

 株価が上がった理由は、昨年のパフォーマンスがあまりに悪すぎたために、成長株として見直されたこと、アメリカの利上げのペースが弱まったため、リスクを取る資金が流れ込んだこと、そしてテスラの複数のモデルで値下げがあったことがマーケットに好感されたなどが考えられるという。

 テスラ株の値上がりは株主はもちろん、一番の当事者のマスク氏本人がさぞかしほっとしているだろうが、それでもツイッターの沼に手を突っ込んでしまった苦境には変わりはない。

「ツイッター社では多くの人員削減が行われていて、1月には買収前に7500人いた社員の80%がいなくなったと報じられました。マスク氏はこの報道を否定して『2300人はいる』と主張していましたが、2月後半にも追加で10%の社員の200人が削減されたとの報道があり、実数で2000人を切ったと見られています。また本業のテスラの株高に救われたものの、マスク氏が世界一に返り咲いたのとちょうど同じ27日に、テスラの株主から、会社とマスク氏に対し損害賠償の集団訴訟が起こされました。理由は、テスラ車が起こした死亡事故に関し、テスラが自動運転技術で誇張した説明をしたおかげで関係当局から調査を受けたため、19年2月から23年2月までの約4年の間に何度も株価が下落して株主に損害を与えたからというものです」(同)

 ツイッターはおろか本業のテスラでも新たなトラブルが持ち上がているマスク氏。あらゆる難関を乗り越え、再び元気なビッグマウスぶりを発揮する日が来るだろうか。

(猫間滋)

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