日本一早い「プロ野球2023」大予測! 松永浩美「行き当たりばったりのSBは最下位すらありうる」

 昨季は両リーグともに連覇となったが、今季は地殻変動が起こるのか? 球界の賢人4人に無理を承知で、キャンプ前から日本一早いペナント予想を依頼した。「史上最高のスイッチヒッター」こと松永浩美氏の答えとは--。

 下馬評ではパ2強とされるオリックスもホークスも私の古巣ですが、今季の優勝はオリックスだと予想します。

 もともと山本由伸(24)、宮城大弥(21)、田嶋大樹(26)が中心のローテに、抑えに平野佳寿(38)が控える投手陣の充実はリーグでも随一です。中川圭太(26)や宗佑磨(26)らの成長で野手もかなりよくなってきた。今のオリックスは、打たれても野手がそれ以上に点を取るし、打線が湿ったらピッチャーが踏ん張れる、そんなチーム。昔からいいチームは投手が野手を育てるし、野手が投手を育てるんです。

 ところが、ソフトバンクにはイマイチその空気がない。4軍まで抱えて競争させて、これで負けたらボウズにしろって言いたくなるくらいのいい環境じゃないですか(笑)。でも若い有望な選手がどんどん出てくるわけでもないし、そもそもチームとしての確固たる戦略戦術が伝わってこない。オフにあれだけの大型補強をしても、その場その場の「行き当たりばったり野球」に見える。オリックスのように投打の相乗効果もなく、野手は野手、投手は投手、という感じがするんです。経験上、こういう時期はあまりよくない。一歩間違えば最下位すらありうると思います。

 若手の伸び率で言うとオリックスと並ぶのがロッテ。昨年ブレイクした髙部瑛斗(25)は国士舘大学で東都大学野球2部の安打記録を塗り替えた選手。安田尚憲(23)にしても藤原恭大(22)にしても、毎年いい若手が育ってきている。佐々木朗希(21)も、今年はもっとやってくれるでしょう。大事に育てることを意識しすぎて過保護な登板にならないでほしい。

 西武も投手陣が育っている。オリ、ロッテ、西武がAクラスと見ています。

 セは阪神、ヤクルトにDeNAがどこまで絡めるか、というのが基本線。私自身は中日も上に行く可能性があると思っています。

 やはり、思い切って京田陽太(28)、阿部寿樹(33)という中心選手をトレード放出したこと。その代わりに、涌井秀章(36)、砂田毅樹(27)と実績のある投手を獲りに行った。立浪和義監督(53)の「チームを改革するんだ」という気概を感じました。侮れないと思っていますね。

 中日には期待したいし、ヤクルト、DeNAには安定感を感じますが、ズバリ優勝は阪神。岡田監督の安定した指揮と、佐藤、大山の中軸固定でチームの芯ができたことは大きい。むしろ、戦力を考えれば昨季開幕当初のような大連敗は異常事態でした。それでも終わってみればAクラスですから、今季は期待していいと思います。やはり個々の選手の能力では、リーグでも上位ですからね。

 逆に巨人は、正直、戦力の上積みがほぼない。長野久義(38)、松田宣浩(39)のようなベテランは、1試合、1打席単位では活躍することもあるでしょうが、長いシーズンで最後まで戦力としてカウントするには疑問が残ります。現役ドラフトでオコエ瑠偉(25)を獲りましたが、巨人に来たからってすぐに戦力に化けるとも思えません。正直、厳しいでしょう。

 阪神優勝、巨人は最下位。これが私のセ予想の結論。もし巨人の選手がこれを見たら、「なにくそ!」と奮起してほしい。やはり伝統の巨人×阪神戦が盛り上がらないことには、球界全体も活性化されませんからね。

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