ハリウッド激震!68年名画「ロミオとジュリエット」の性的搾取騒動に「なぜ今さら?」

 シェイクスピアの著名な戯曲をフランコ・ゼフィレッリ氏が脚色・監督。俳優のレナード・ホワイティングとオリビア・ハッセーが主演して話題を呼んだ1968年の名画「ロミオとジュリエット」。

 映画公開から50年以上経つが、主演を務めたレナードとオリビアが、撮影に児童虐待に当たる行為があり、50年以上にわたって精神的苦痛を受け続けてきたとして、米パラマウント・ピクチャーズを相手に、5億ドル超(約653億円)の訴訟を起こしていたことが4日、AP通信などによって報じられた。

「訴状によれば、当時、ハッセーさんは15歳、ホワイティングさんは16歳。映画には臀部や胸の一部が見える寝室でのシーンがあり、当時、ゼフィレッリ監督からは肌色のアンダーウエアを着用してもらうと説明されたものの、のちに『本当に脱がなければ、この映画は失敗作となる!』と説得されたというのです。2人はこれが性的搾取、児童の不適切画像の配布に当たると主張。誰もが知る名作だけに、映画関係者に大きな衝撃を与えているようです」(全国紙記者)

 ハリウッド映画界でも歴史に残る名作に降ってわいたこの騒動。当然のことながら、映画好きの間でも大いに話題になっている。《当時子供だった2人に対し、騙し討ちのような形で撮影を引き受けざるを得ない状況を作ったという点。当事者が受けた、精神的苦痛は何十年経っても癒える事がない》《50年以上前のシーンが今の価値観に照らし合わせて罰せられたら、昔の作品は全部引っかかるのでは?そんなことしたら表現の自由がなくなるぞ!》などと賛否両論だ。映画ジャーナリストもため息をつきながら、こう語る。

「この映画で長年にわたって2人の若者が苦悩し続けてきたとしたら、それは大変悲しいこと。ただ、この映画には10代特有の輝くような美しさと熱量があり、それが名監督であるゼフィレッリ監督の手腕により生まれたからこそ、世に残る素晴らしい作品となったことも事実です。監督はすでに鬼籍に入り、当時の製作者には亡くなっている関係者も多いはず。はたしてどんな裁判になるのか。判決内容によってはこれに追随する作品の訴訟も想定され、全米の映画関係者が固唾を飲んで裁判の行方を注目しているはずです」

 映画の公開から実に55年、ハリウッドの映画界が揺れている。

(灯倫太郎)

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