炎上するにはワケがある。出来事の本質を理解せず軽々に面白がることもその1つ。識者やインフルエンサー、有名お笑いタレントも炎上したケースを振り返る。
「2022年の大炎上ワースト」第6位は、情報番組のコメンテーターとしてもおなじみの国際政治学者・三浦瑠麗氏だ。
9月2日放送の「朝まで生テレビ」(テレビ朝日系)では、旧統一教会の合法性を主張して視聴者から猛反発された。司会のジャーナリスト・田原総一朗氏が「信者からやたらと金を巻き上げる。それをなくすにはどうすればいい?」と尋ねられた三浦氏は「なくせないと思うんですね」と回答。続けて「世の中にはね、こういう山上(徹也容疑者)みたいな虐待家庭をつくり出す事由はいっぱいある。お父さんがパチンコとか競馬でお金をすったり、家庭内暴力で殴ったり、飲酒で溺れたり、どれも合法です。合法な活動で家庭が崩壊するケースがいっぱいある。なぜ宗教法人(だと問題)になるかというと、政局だからです」と発言した。
旧統一教会による被害をパチンコ、競馬、飲酒と同列に並べて「合法」と述べた三浦氏に対して、《競馬やパチンコは射倖心を煽ってもマインドコントロールをかけているわけではない》《パチンコは店員が勧誘していない》などといった批判が相次ぎ、炎上してしまった。
第5位は「若者が最も信頼するインフルエンサー」第2位に選ばれたこともある、ひろゆきこと実業家の西村博之氏。炎上の発端となったのは、10月3日更新のツイッターだ。《座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?》とつづり、沖縄・辺野古基地建設に反対する「新基地断念まで座り込み抗議 不屈 3011日」と書かれた立て看板の横で満面の笑みを浮かべてピースサインをする自身の写真を投稿した。
確かにひろゆき氏が指摘したように、写真撮影時には座り込んでいる人はいなかった。だが、辺野古の座り込み抗議は工事車両が来る9時、12時、15時に行われるのだ。それを知らずに座り込み抗議を揶揄したような投稿に批判が相次いだ。ところが、この批判に対しても、ひろゆき氏は10月4日のツイッターで、《『9時、12時、15時にしか居ません』と書いてくれないと、わからないですよ》などと反論し、またもや炎上してしまった。沖縄県の玉城デニー知事も、「現場で抗議を続けてきた多くの方々に対する敬意が感じられない。残念だ」と語ったものだ。
第4位は爆笑問題の太田光。総合司会を務める情報番組「サンデー・ジャポン」(TBS系)で、旧統一教会を擁護するかのような発言を繰り返した。9月25日の放送回では、信者の家族が教会から脱会させようとして信者本人を拉致、監禁したと非難。ジャーナリストの鈴木エイト氏は「拉致、監禁とは全く別。保護して説得するというのは一定の合理性がある」と太田を諭した。
10月2日の放送回では「いい人、無垢な人が今も信者にいる。テレビが(旧統一教会を)悪だ、インチキだと報じていいのか」と強調。この発言にツイッター上では《太田光をテレビに出すな》というハッシュタグまで登場する異常事態となった。
「ひろゆき氏の座り込み抗議についての発言は、実業家の堀江貴文氏が『あの人ってさ、そういうくだらないこと茶化すのが好きだよね』と指摘していましたね。三浦氏は、例え話に無理がありました。そもそもギャンブルや飲酒は献金ではありませんし、家庭内暴力は合法ではありません。太田は『サンジャポ』で、珍しく本気で怒ったタレントのデーブ・スペクターから旧統一教会について『知らなすぎる!』と指摘されていました」(芸能記者)
ワースト3者に共通するのは、炎上しても自説を曲げないという図太さなのかもしれない。
(石田英明)
*2022年「炎上」ワースト10(下)につづく