さらば青春の光・森田哲矢「25歳で合格した松竹のオーディション」/テリー伊藤対談(2)

テリー じゃあ、高校を卒業したのは19歳の時だ。

森田 はい。

テリー で、どうしたの?

森田 卒業するのが精一杯で、就職先もない、進学もできないという状態やったんで、卒業後は地元のカラオケ屋でバイトしたりとかして、5年間ぐらいギャンブルで借金とか作ったりして、ダラダラ過ごしてましたね。「何かはやらなあかんな」と思いつつ、24までダラダラと。

テリー ちょっと焦りはあったんだ。

森田 そうですね。で、25になるぐらいの時に「ここからの人生、俺どうしようかな」「どうやったら金持ちになれるのやろな」と思って、いろいろ考えてたんですよ。社長にもなられへんし、資格を持ってるわけでもないしとか。で、考えた結果、お笑いがいちばん金稼げる手段として可能性があるんじゃないかと思って。それで思い切って松竹芸能の養成所のオーディションに行ったみたいな感じですね。

テリー それは1人で?

森田 1人ですね。ほんとは2人で行きたかったんです。やっぱりダウンタウンさんとか、ナイナイさんとか学生時代の友達同士で行くほうが楽しいじゃないですか。でも僕、もう25やったんで、みんな就職もしてるし、子供おるヤツもおるしとか、1人で行くしかないなっていう感じでしたね。

テリー 松竹芸能のオーディションって何やるの?

森田 いや、何をするとかは関係なくて、受かるも落ちるもないんですけど。普通にしてたら受かるんで。

テリー 要はよほど変じゃなければ、松竹は授業料が欲しいから入れちゃうんだ。

森田 そうです。最初の入学金20万円が欲しいから。

テリー その20万はどうしたの?

森田 20歳ぐらいから24ぐらいまで借金して、必死で返したんですよ。返して20万余ったんですよ。その20万で、じゃあ行くかと思って行ったんですね。

テリー ああ、そうか。

森田 で、受かって、「この日までに20万円持ってきてください」って言われて持って行って。20人ぐらい受かったんですかね。1列に並ばされるんですよ。一番後ろに並んだんですけど、前のヤツが養成所の先生みたいな人に入学金を渡して、その先生が金を数えて、おかきの空き缶に入れていくんです。「おかきの空き缶に入れてるやん」と思って、それ見た瞬間に「俺、逃げるんやったら今やな」と思ったんですけど。まあ、でもしょうがないかと思って、20万円払って、そこからは養成所で相方を探すみたいな感じですね。

テリー それで今の相方と出会ったの?

森田 最初は違う相方やったんですよ。最初はけっこう相方ができなくて、周りが組んでいく中、僕はポツンとなってて。もう1人だけ余ってるヤツがいて、余りもん同士で組んだみたいな感じでしたね。そのコンビで2年ぐらい活動して解散して、今の相方に誘われてみたいな。

テリー 誘われたんだ。

森田 そうです、そうです。僕も相方も当時暗くて、「こんな暗いもん同士で組んで大丈夫か」みたいなんで断ってたんですけど、その年「キングオブコント」が始まるって聞いて、「じゃあ1回試しに出てみるか」っていって出たっていう感じですね。

テリー ホン(台本)は森田さんが書くの?

森田 ネタは最初は2人で考えてましたね。ホンとかじゃなくて、単純に「こんな設定あんねんけど」「じゃあ、それやったらこういう会話になるな」みたいなんでやってましたね。

*テリー伊藤対談(3)につづく

エンタメ