巨人との今季最終戦に敗退し、阪神は「自力優勝&クライマックス(以下=CS)自力進出」の可能性が消滅してしまった。
阪神のCS出場は、4位広島、5位巨人の今後次第だが、可能性が完全に消えたわけではない。しかし、この敗戦は矢野燿大監督の“采配ミス”も影響している。CS進出は、矢野監督次第と言っていいだろう。
先発には、対巨人24イニング連続無失点中(試合前)の西勇輝を立てたが、29イニング目につかまった。
だが6回3失点だ。クオリティスタートであり、「打線の援護に恵まれなかった」と言えなくはない。しかし、巨人の先発は戸郷翔征。対阪神戦の防御率は1.36であり、ロースコアの展開になることは予想できたはずだが、先に仕掛けたのは矢野監督だった。
「今季、西が巨人戦に投げるのは、これが4試合目。過去3戦、マスクをかぶってきたのは坂本でした。捕手を梅野に代えたことで、配球面での微妙な違いがあったのでは?」(球界関係者)
6回、中田に勝ち越しアーチを浴びたのは“配球面での微妙な違い”だと言われている。初球は内角へのシュート。2球目に外角低めへの直球が要求され、左中間スタンドへ。本塁打は結果論だが、梅野が要求した2球目が「ストライクがほしいのか、それともボール球でいいのか」、ハッキリと伝わっていなかったという。
「14日の広島戦で梅野は攻守に渡る大活躍を見せています。その勢いを買ったのでしょう」(前出・同)
また、試合前のことだ。今シーズン限りでの引退を表明した糸井嘉男がチーム練習に合流し、関東圏の虎ファンに雄姿を見せていた。一軍登録はまだされていない。
その糸井がフリー打撃で快音を連発し、うち4本をスタンドに放り込んでいた。
「21日、甲子園での広島戦が引退試合? その前に代打でガンガン使ってくれ!」
9回最後の攻撃が三者凡退で終わった瞬間、糸井へのラブコールも聞かれた。CS進出のためには、勝ち続けるしかない。ここに来て、歯車がかみ合っていないのが気になる。
(スポーツライター・飯山満)