給与の「ペイ払い」利用希望者は1割!?「事業者負担」にも懸念の声

 厚生労働省の審議会が9月13日に開かれ、企業が支払う給与を「〇〇ペイ」で受け取れるようになるデジタル給与払いを来春にも解禁する方向で最終調整することが明らかとなった。世界に後れを取っている日本のキャッシュレス化を推進する狙いがあるが、これには微妙な声が相次いでいる。

 賃金の支払いは現金で支払うことが原則で、例外的に銀行口座への振り込みが認められているが、厚労省が必要な省令改正を行ってデジタル口座への振り込みも追加される。対象となるのは「ペイペイ」「d払い」「楽天ペイ」といったキャッシュレス決済の口座で、口座残高の上限は100万円とし、それを超える分は従来通り銀行口座などに振り込むという。

 これにネット上では、《支払う側は面倒そうだな》《中小企業だと“キャッシュレス決済ってなんぞや”ってところもまだ多そう》《これで、さらに国はキャッシュレス払いに対応していない小規模事業者に圧力を掛けるわけだ》など事業者を心配する声も多く見られた。

「給与をデジタル払いにするメリットは、受け取る側が銀行口座を簡単に開設できない外国人労働者の場合や、銀行口座から引き出してキャッシュレス口座に入金する手間と手数料が省ける点などが挙げられますが、そこまでメリットは大きくないとされています。MMD研究所が今年7月に発表したアンケート結果によれば、デジタル給与払いを利用したいと回答した人はわずか11.2%ですからね。実際の利用者がどれほどになるかは不明ですが、もし1割のためにデジタル給与払いの体制を整えなければならないのであれば、特に小規模事業者などでは負担が大きいかもしれません」(ITジャーナリスト)

 デジタル口座は不正送金などのリスクもあるため、どこまで利用する企業が増えるのかは未知数だ。

(小林洋三)

マネー