「昨年撤退も再オープン」サブウェイが南アルプス「山間の村に出店」のなぜ?

 コンビニや外食産業、ドラッグストアなど、全国展開するチェーン店の場合、出店に際しては集客予測といった綿密なリサーチを行うのが一般的だ。それゆえ、店舗の大半は一定以上の人口がいる区市町に集中し、最も小さい行政区画の「村」で見かけることはほとんどない。

 そんな中、大手サンドウィッチチェーンの「サブウェイ」は今月5日、長野県南箕輪村に「サブウェイ ルート153南箕輪店」をオープンした。同社は白馬村のスキー場内にも出店しているが、こちらは冬季限定となるため、「村」での通年営業としては全国唯一の店舗となる。

「実は、南箕輪店は昨年11月に一度撤退しているのです。が、存続を望む利用客が多く、同店のフランチャイズ経営に名乗りを上げた長野県内の企業もあったことから、熱烈なラブコールに応える形で再オープンに至ったそうです」(飲食業界誌編集者)

 南箕輪村は伊那盆地の北側に位置し、人口は全国の村では7番目に多い1万5966人(8月1日現在)。しかも、人口はわずかながら増えているという。

「精密機器メーカーの工場が集まる諏訪に近く、松本もギリギリ通勤圏。隣の伊那市には約6万5000人が住んでおり、中央アルプスと南アルプスに挟まれた山間の村という立地に反して人口が多いエリアなんです。しかも、お店は国道153号線に面し、週末は多くの行楽客で渋滞ができるほど。確かに村ですが、過疎地ではないのです」(前出・飲食業界誌編集者)

 ちなみに、マクドナルドやモスバーガー、KFCなど他の大手チェーンも南箕輪村ではないが村への出店は存在する。ただし、読谷村や中城村(沖縄県)、東海村(茨城県)、西郷村(福島県)など、いずれも人口2~4万人台と市町並みの規模を誇る村ばかり。

 大手チェーン店が進出しているのは全国183村のうち1割未満というだけに、人口1万人台の村へと進出したサブウェイの奮闘が注目されるのだ。

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