米医学誌が警鐘!中国で発見「狼牙ヘニパウイルス」新感染症の行方

 中国の山東省や河南省で新種のウイルスが見つかり、住民35人が感染していることが、アメリカの医学誌「New England Journal of Medicine」の論文で明らかになった。

 中国などの国際研究チームが発表したもので、「狼牙へニパウイルス」と名付けられている。2018〜2021年に中国東部の山東省と河南省の病院で発熱症状のある患者35人から相次いで検出され、患者はある動物に、直接ないし間接的に接触した可能性があるという。
 
「感染した35人の患者は主に農業従事者。症状は発熱や倦怠感、咳、頭痛、食欲不振などで、そのうち何人かは血球の異常や肝臓・腎臓損傷といった症状が現れたようです。死者は報告されていません。狼牙へニパウイルスは、動物から人に感染するヘニパウイルスの一種で、人から人に移るかは不明。感染拡大の可能性は低いと見られています。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック以来、人畜共通感染のウイルスは世界中から注目されていますからね。台湾の疾病予防センターでは、狼牙ヘニパウイルスの感染状況について『注意深く監視している』と発表。厳重注意を呼び掛けています」(メディカルライター)

 研究チームの報告によれば、調査したトガリネズミの27%から狼牙ヘニパウイルスが検出されたたため、自然宿主はトガリネズミであると考えられるという。また、調査した犬の5%、ヤギの2%からも検出されたことが発表されている。

 それにしても、新型コロナウイルスの発見以降、中国では立て続けに感染症の発生が報告されている。前出・メディカルライターによれば、

「20年3月には、雲南省で死亡した労働者から『ハンタウイルス』が検出されています。このウイルスは主にネズミの尿や糞、唾液に触れることで感染しますが、人から人への感染は認められていません。また同じころ、江蘇省、山東省、浙江省で『新型ブニヤウイルス』という感染症が確認されています。新型ブニヤウイルス感染症はマダニに噛まれることで発症し、患者の体液や血液に接触して二次感染が起こる例も。潜伏期間は6日から14日間で、感染すると高熱、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れなどの症状が表れ、重症化すれば臓器不全に陥ることもある。命の危険にかかわる病気ですが、今のところ治療薬はありません。中国に限らず、一定の地域で風土病として流行していた感染症から新たなウイルスが発見されるというケースは今後も起こりそうです」

 米疾病対策センター(CDC)では、新たに発現する感染症の4分の3は動物から人への感染によるものと推測しているが、環境破壊や気候変動により今後、動物由来の病気が増えていく可能性は高いという。

 日本でもインバウンドが再開、観光地や町中に活気が戻ってきた一方、新型コロナウイルスは拡大するばかり。ともあれ、新たなウイルス流入だけは勘弁してほしいものだ。

(灯倫太郎)

*写真はイメージです

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