なぜサッカー海外組は“大卒選手”が主流になったのか?

 W杯最終予選のオーストラリア戦では出場を決定づける2ゴールを挙げ、今や日本代表には欠かせない存在となった三笘薫。21-22シーズンにレンタル加入したユニオン・サン・ジロワーズ(ベルギー1部)では、公式戦29試合出場で8ゴール3アシストを記録。その活躍が認められ、今シーズンは保有元のイングランド・プレミアリーグのブライトンでプレーすることが先日発表された。

 そんな彼が川崎フロンターレでプロデビューしたのは今から2年半前の20年のJ1開幕戦。筑波大サッカー部に在籍していた18年から特別指定選手として登録されていたが、入団前の出場歴はカップ戦の1試合のみだ。

 実は、現在の海外組には大学サッカー出身者が非常に多い。例えば、古橋亨梧と旗手怜央(セルティック)、守田英正(スポルティング・リスボン)、伊東純也(ヘンク)、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)など代表クラスのプレーヤーがズラリ。

 高校サッカーやユースよりもプロ入りの時期が遅く、海外移籍には本来不利なはず。にもかかわらず海外リーグでプレーする選手がこれほど多いのはなぜなのか?

「Jリーグも半数以上が大卒選手ですが、その大きな要因は大学サッカー界の育成システムです。ライセンスを持った指導者がコーチを務め、フィジカルや食事でも専門のスタッフを置くなどプロ顔負けの環境を持つ大学も増えています」(サッカーライター)

 実力的にJ2、J3のクラブと互角に渡り合う大学も珍しくなく、その一方でセカンドチーム以下の選手向けの「インディペンデンス・リーグ」などもある。プロより出場機会が多く用意されているため、大学進学後に急成長を遂げる選手も少なくないという。

「高校時代よりもメンタル面の成長が期待でき、大学生活を通じて知識・教養を身に付けるだけでなく人間としての多様性も備わります。結果が優先されるプロでは精神面で未熟な余り、成長が阻害されるケースも多い。そのため、最近は高校時代にプロから声がかかっても大学に進む選手が増えています」(同)

 11月のカタールW杯でも主力として期待されている海外組の大卒選手たち。彼らの活躍によってはJリーグや海外でプレーする大卒選手がさらに増えるかもしれない。

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