指導員の高齢化や採用難による“指導員不足問題”に苦しむ自動車学校業界の課題解決のため、運転練習に「AI」が活躍するようだ。
ミナミホールディングス株式会社は7月1日より「AI教習所岡山校」を開校した。人材不足に悩む自動車学校業界では、指導員への負担増や、高齢者講習の受け入れ対応が難しく、予約の空きがない状態が続くなど、課題が山積み状態に。そんな問題を解決してくれるのが「AI教習車」だ。教習の流れとしては、1時間目から4時間目までの技能実習で、指導員がハンドルやブレーキの基礎的な操作方法をレクチャーし、1人で練習できると判断された教習生は指導員の同乗なしで行える「AI教習車」での実習に移る。
「AI教習車」は、自動運転技術で走行位置を正確にAIが把握し、音声ナビが運転コースを指示する。もしもアクセルとブレーキを踏み間違えても安心の自動補助ブレーキシステムも搭載。AIが事前に危険を予知し、教習生は安全に実習に取り組めるのだ。運転後には自分が運転した録画映像と、AIが判定した評価やアドバイスを参考に実習を振り返ることもできる。安全面、技術上達面ともに、教習生にとっては嬉しいシステムとなっているようだ。
指導員が同乗しなくても教習生が1人で運転練習できるというこの画期的なシステムがもたらすメリットは、人材不足解消だけではないようだ。「AI教習所」の開校が話題になると、ネット上では《あの嫌〜なプレッシャーが無いと思うと運転練習に集中できるかも!》《教官がAIならドヤされることもないのかw》《『なんで補助ブレーキ踏んだか分かる?』とか、ベテランっぽい指導員に詰められて怖かった思い出ある》《怖い先生の教習はまじで頭が真っ白になって運転どころではなかった…》など、自動車学校で指導員との人間関係にストレスを感じたことがある人の多さが伺えるコメントが見受けられた。同校も、AI教習のメリットとして対人ストレスがなく、のびのびと運転練習ができることを掲げており、今後の展開次第では対人関係が苦手な人からの需要も高まるのではないだろうか。
道路交通法および関連法規により、公安委員会指定の指定教習所ではAI教習システムを免許取得教習に利用することは現時点ではできないようだ。しかし、このシステムが教習所のスタンダードに取って代わる日はそう遠くないかしれない。
(浜野ふみ)