連敗ストップの活躍でも大谷翔平がムッとしていた理由は…

 エンゼルスがようやく連敗街道を脱出した。その投打のヒーローが二刀流・大谷翔平だった。6月9日(現地時間)のレッドソックス戦に「2番・投手兼DH」で出場した大谷は、5回裏に逆転の12号ツーランを放つなど2安打2打点と活躍。投げては、7回1失点と相手打線を抑え込んだ。しかし、試合後の表情は厳しかった。

「二刀流で出場した試合でのホームランは、今季初。自らへの不甲斐なさもあったと思いますが、大谷の投打での活躍がなければ、チーム状況は変わりませんでした。他選手がピリッとしなかったので、連敗中、投打の歯車がかみ合っていないと指摘されていました」(現地記者)

 そう言われてみれば、逆転アーチを放った直後のことだ。ハイタッチで迎えられたが、その時点で眉間に皺を寄せていた。試合後のインタビューでも「(ホームランを)打ったのは打ったときに終わっている。逆転した次の回はとくに大事。そのことを考えていた」と、厳しい口調で語っていた。

「最大の理解者でもあったジョー・マドン監督を失ったショックもあると思います。今さらですが、チームも成績不振だとヤバイことになると察していたのでしょう」(在米ライター)

 そのマドン監督だが、エンゼルスでの指揮は3季で、過去2年間、勝率5割超えは一度もない。解任された時点での成績は27勝29敗だったが、12連敗中であり、最大11もあった貯金を全て吐き出してしまった。

 後任のフィル・ネビン三塁ベースコーチを指して、こんな指摘も聞かれた。

「ネビン監督代行は去年までヤンキースの三塁コーチャーを務めていました。他球団でも三塁コーチャーの経験があり、マイナーでは監督も務めています。ネビン代行の経歴を考えれば、マドン監督の後任の含みもあって迎えられたのでは」(同)

 マドン監督は今年68歳。カブスを71年ぶりの優勝、108年ぶりのワールドシリーズ制覇に導いた印象が強いが、指導者としてのキャリアをスタートさせたのはエンゼルスだ。そのコーチ時代、2度、監督代行を務めており、指揮官がシーズン途中で解任される雰囲気も経験していた。

「大谷は去年、DH制を解除したリアル二刀流で試合に臨む際、マドン前監督と話し合って登板のイニング数などを決めていました。12連敗中、打撃成績が振るわなかったので申し訳ない気持ちが募っていたはず」(同)

 ネビン代行は今後も大谷を先発陣の主軸として起用していくつもり。地区優勝争いに復帰できなれば、恩返しはできない。

(スポーツライター・飯島満)

スポーツ