「ファミマで中古スマホ回収」が中止に!裏にジャンク大量持ち込みと転売ヤー

 伊藤忠商事が、実証実験として家に眠るスマートフォンやタブレット、フィーチャーフォン(ガラケー)をファミリーマートで回収する事業をスタートさせたのは2月1日のこと。ところが、想定をはるかに超える客が殺到したことにより、店舗でのオペレーションに支障を来したため、12日までに受付が停止された。

「今回の実証実験は都内25店舗のファミリーマートで実施され、不要になった携帯電話端末1台につき、ファミリーマートで利用できる1000円相当のクーポンと引き換える、というものでした。ところが開始当初から、大量のジャンク品を手にクーポンとの交換を求めたり、獲得したクーポンをフリマサービス上で転売するなどのケースが続出。結局、開始からわずか数日での受付停止を余儀なくされてしまいました。伊藤忠商事の試算では、家庭内で使用されていない携帯電話端末は2021年時点で2.7億台。その価値は3兆円に上るとみられています。スムーズな回収スキームができれば、中古端末としてリユースしたり、希少金属の資源となるなどSDGsの観点からも期待は相当高かったようです」(経済誌記者)

 スマートフォンをはじめとする携帯端末の新品出荷台数が伸び悩んでいる一方、毎年右肩上がりで急成長しているのが中古市場。その要因は、2019年9月のSIMロック解除と同年10月施行の改正電気通信事業法だ。これにより、いわゆる「2年縛り」が禁止され、通信料金と端末代金の完全分離が義務付けられた。

「それまでの携帯電話プランは、キャリアによる長期間契約で端末は『実質ゼロ円』というものが主流でしたが、法改正によりたとえば10万円の端末なら割引制限が2万円、残り8万円は自己負担となった。しかも、端末のスペックがここ数年は高止まっているため、新品購入のマインドは落ちています。性能であまり変わらないなら型落ちの中古でもいいか、と考える消費者が増えているのです」(同)

 結果、格安な中古スマホの2台持ち、3台持ちという状況が生まれ、気がつくと机やタンスの引き出しに置き去りにされ…という状況になっているらしい。

 今回、伊藤忠商事が行った実証実験もそうした埋蔵端末の有効活用を見据えたものだったが、「一時停止」の報道にネット上では《このニュースで解ったことは、クーポン等の特典があれば、古い機器を積極的に提供する人が多く存在することですね》《実証実験段階で問題点と展望が見つかったのであれば、まずは成功というべき》《取り組みへの関心や反響が想像以上に大きいことは既に確認できたし、店舗運営への負担が小さい仕組みや転売対策をきちんと再構築して再開してほしい》《ファミペイアプリを活用するなどして1人3台までのような制限を付ければ業者の持ち込みは防げると思います》《将来的に都市鉱山をさらに活用するため、ほかの電子機器についても提供が呼びかけられるかも》といった建設的意見が多数見られた。

 問題が浮き彫りになった今回の「スマホ回収」実証実験だったが、中古スマホという鉱脈をめぐる知恵比べはしばらく続きそうだ。

(灯倫太郎)

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