続発する「撮り鉄」ならぬ「盗り鉄」被害!ネットオークションで転売も

「撮り鉄」ならぬ「盗り鉄」の被害が止まらない。

 2月3日、栃木県・福島県と首都圏を結ぶ野岩鉄道が盗難被害に遭い、情報提供をホームページで呼びかけた。盗まれたのは、列車種別表示器、行き先表示器、方向幕。立ち入り禁止の場所に足を踏み入れて電車の撮影をする「撮り鉄」によるトラブルは時折話題となるが、近年は「盗り鉄」のより悪質な犯行が続発しているのだ。

「一昨年12月には北海道で連続して逮捕者が出ています。JR函館本線(砂原支線)の渡島砂原駅で駅名標を盗んだとして63歳の男が捕まったのですが、このほかにも札幌では、東室蘭や旭川などの行き先標6枚を盗んだ容疑で56歳の男が逮捕されています。さらに19年には静岡県で、JR東海道本線の島田駅で深夜から早朝にかけて停車していた電車からスピード制御装置や警報器が盗まれるという被害があった。こちらはなんと運転席の鍵を破られるという前代未聞の犯行でした」(週刊誌記者)

 たいていは外部付属品が盗まれるものだが、島田駅の事件は運転台にまで侵入されて部品を盗まれたために、東海道線の上下3本が運休して1070人の足に影響が出たというのだから極めて悪質だ。

 もちろん最初に疑われるのは鉄道ファンの仕業だが、鉄道部品はファン垂涎のものもあってネットオークションでは高値で取り引きされていることから、鉄道好き以外の手による転売目的の犯行ということも大いに考えられる。北海道での逮捕の例などはまさにこれだった。

「鉄道会社は廃品の販売を行うのでこれを正規ルートとすれば、入手経路不明なものは非正規ルートということになります。盗品は、直接ネットオークションにかけられる場合もあれば、鉄道グッズを扱うショップに売られたものがネットオークションに出品されたと疑われるケースも見られます。過去には、盗まれたばかりのものがオークションにかかって、ネット上で『盗品では?』と騒がれたこともありました」(同)

 鉄道ファンの仕業なら彼らの鉄道を愛する気持ちに訴えかけて止めさせることもできるかもしれないが、単なる金目当てなら窃盗一般になってどうしようもない。「盗り鉄」は鉄道ファンの敵でもある。

(猫間滋)

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