“紅茶離れ”が深刻化?英ユニリーバ「リプトン」売却の衝撃

 イギリスの家庭用品大手「ユニリーバ」は11月18日、世界的紅茶ブランドである「リプトン」を含むお茶事業を、投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに売却すると発表した。同ブランドは日本でも定番中の定番だけに売却には驚きの声が上がっている。

「リプトンは1871年にスコットランドに食料品店を開いたトーマス・リプトンの手によってスタートした紅茶ブランドで、1938年にユニリーバによって買収されると世界に先駆けてティーバッグを量産化させたことでアメリカを中心に大ヒットを記録し、紅茶文化を根付かせたました。しかし、現在では需要が伸び悩んでいることから、今後は収益の拡大が見込めないと判断、売却を決めたといいます。なお、ユニリーバは今後、代替肉などの成長が見込める事業に注力していくとのことです」(情報誌ライター)

 リプトンは日本の紅茶ティーバッグ売上の約2割を占める人気商品だけに、ネット上では《これだけの世界的ブランドを成長が見込めないからってバッサリ切るのはすごい。日本企業なら絶対に手放さないだろう》《需要が伸び悩んでいるって言っても固定客はいるんじゃいの? そんなに紅茶って売上が落ちてるんだろうか…》《今後飲めなくなるわけじゃないんだろうけど、簡単に売却されるのはなんか悲しいな》などといった声が広がっている。

「今回の売却は世界的な紅茶離れがあると言われています。特に顕著なのは、紅茶の本場と言われるイギリスで、市場調査会社ミンテルによれば、2010年に9700万kgあった紅茶の売上量は15年には7600万kgと2割以上も減少していて、若者はほとんど紅茶を飲まなくなってしまったのだとか。その一番の原因は『スターバックスコーヒー』などコーヒーチェーンの隆盛によるコーヒー文化の拡大があり、加えてイギリスの喫茶習慣だったアフタヌーンティーを巡り、一緒に食べるケーキやスコーンなどが太る原因になると敬遠されるようになったことも影響しているとされます」(同)

 新型コロナウイルスの余波でインド産の紅茶の仕入れ値が上がったことも紅茶離れを加速させており、今後はさらなる需要減となるかもしれない。

(小林洋三)

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