中国で「小鎌倉」「小奈良」が大量出現!”横取り商標“がなくならない理由

 中国のニュース配信サービス「上遊新聞」が、中国で今「小鎌倉」や「小奈良」など、日本の地名を冠した観光地が大量に増えている、との記事を9日に掲載。中国のネットユーザーからも「中国には『小鎌倉』がどれだけあるんだ?」といったツッコミが寄せられるなど、大きな話題になっているという。

 記事によれば、中国国内には既に62市に「小京都」、61市に「小鎌倉」、59市に「小奈良」があり、さらに「小鎌倉」を含む言葉の商標登録申請なども相次いでいるという。

 中国の事情に詳しいジャーナリストが語る。

「『小鎌倉』でいうと、『太湖小鎌倉』『東山小鎌倉』『洞庭小鎌倉』などを含む数十件が申請中だとされています。また『奈良』も人気で、『奈良鹿』『奈良寿司』など申請は100件以上。さらに一番人気の、『京都』に至っては『京都阿婆』『京都火鍋』など、1000件ほどが申請中と報じられています。かつては、パクリ天国と揶揄された中国ですが、近年の高度成長により、様々な分野でオリジナリティを重視したブランディングに力が注がれていただけに、時代を逆行したようなブームに、若者を中心に中国国内でも疑問の声があるようです」

 記事では、日本の地名大量出現の理由を、コロナによる感染拡大で海外旅行が長期に渡って出来なくなり、多くの中国人が代替地を求め、それに目をつけた観光スポットが、日本の有名観光地に『小』を加え集客を狙っているのでは、と分析しているが、前出のジャーナリストによれば、

「もちろん、それも理由の一つでしょうが、最大の要因は中国の商標登録法の問題。そこを改善しない限り、こういった『横取り商標登録』はなくならないはず」と指摘し、こう続ける。

「中国での商標登録は、まず中国商標局に出願書類を提出し、審査→公告→登録という順で手続が進行しますが、オンライン出願ができるため手続きが簡素。また中国商標法では、外国では周知の商標で不正目的が疑われる場合でも出願を拒絶するような規定がない。いったん登録されてしまえば、裁判になった場合、商標登録したほうが勝ち、登録していないオリジナルのほうが敗訴するということに。そんなことから中国では、とりあえず何でもかんでも出願申請してしまえといった傾向にあるんです」

 結果、「AOMORI」や「OKAYAMA」といった日本の地名が中国で商標登録され、大きな問題に発展したことは記憶に新しい。

 記事によれば、今回の「商標登録」申請には、中国商標局も難色を示していると言われるが、ともあれ今後、「小軽井沢」や「小草津温泉」が現れないことを願いたいものだ。

(灯倫太郎)

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