中田翔「暴力移籍を美談に」を断罪する(3)最後まで面倒は見ない

 かつては松井秀喜(47)の大ファンでG党でもあったという、コラムニストの亀和田武氏は、

「素行が問題視された中田が巨人に入ったのは、実はピッタリじゃないか」

 としてこう皮肉る。

「『球界の紳士たれ』なんて文言は、もはや冗談にしか感じられません。原監督のコメントも耳ざわりはいいけど、どうも上滑りしているものばっかりで、心に響かない。私には菅義偉総理の答弁を聞いているのに近い感覚です。それに近年の巨人はとても品行方正な集団とは言えませんからね。野球賭博や闇カジノ問題、不貞スキャンダルだって多い。古くは桑田真澄(53)と清原和博(54)のドラフトでのイザコザもあったし、小久保裕紀(49)の無償トレードなんてのも。やっぱり松井が監督として戻る気配がないことでお察しできると言いますか。球団の体質が変わるか、コミッショナーや第三者委員会的な、球団とは別の規定で動く機関がこうした問題に対処しないと、また似たようなことが起きると思いますよ」

 説明責任を放棄した結果、両球団にはどんな影響が及んだのか。まずは日本ハムだが、

「問題アリとはいえ、曲がりなりにもチームリーダーがいなくなったのに、一部の選手にしか事情や経緯の説明がなされていないそうで、球団に不満を抱く選手が続出しています。また、中田はある種、恐怖政治でチームを引き締めていた部分もあったので、全体がいわゆる『ゆるフン』状態。弛緩した雰囲気が漂っていますね。中田が去って強くなる、ということはなさそうです」(日本ハム番記者)

 巨人はどうか。原監督は一塁のポジションを大ベテランの中島宏之(39)と併用する構えを見せるが、

「近い将来予定していた坂本勇人(32)の三塁転向と、それに伴う岡本和真(25)の一塁転向のスライドコンバートが、中田の加入で狂ってくる。当然、生え抜きの育成にも関わってくるし、デメリットは大きい。ただまあ、中田の面倒を最後まで見る気はないとは思います。清原だって小久保だって、ずっとはいなかったでしょ。笑えることに巨人は、8月26日に中田の初本塁打記念グッズをちゃっかり発売し、すでに高額年俸の金策に走っています。中田は打てなくなったらすぐに見限られてポイされるでしょうね」(スポーツ紙デスク)

 腰に不安を抱える中田は、移籍後6試合を終えて打率1割4分3厘と低迷中。首の皮一枚の状況が続いている。結局「冷血球団」と「エセ紳士」、そして「お山の暴力大将」が引き起こした密室の移籍劇は、これまで以上に少年ファンの「プロ野球離れ」を加速させただけなのかもしれない。

*「週刊アサヒ芸能」9月9日号より

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