素人に完敗!芸能人がYouTuberとして成功しない理由

「芸能人はYouTubeでは成功しない」
 そんなジンクスが囁かれ始めて数年が経つが、未だにこの難解なミッションを達成しそうなのはキンコン梶原ぐらいのもので、お笑い以外でも元SMAPの草なぎ剛を除けば、ほとんどの著名タレントが撃沈し続けている。

 バラエティ番組などでは引っ張りだことなっているカンニング竹山やタレントの梅宮アンナ、さらには大御所の所ジョージまでもが、これまでに“YouTuberデビュー”を果たし、独自のチャンネルを開設するも、その登録者数は2~3万人に留まるなど、悪戦苦闘が続く。チャンネル開設からの日が浅いこともあるが、3年以上も前からチャンネルを開設した小島よしおに至っては登録者が6000人にすら満たない状況。名のある有名人が数年間かけても成し遂げられないことを、後発デビューのほぼ素人が華麗に再生回数を抜き去るという珍事が当然のことのように起きているのだ。

「その理由としては幾つか挙げられますが、やはり主なターゲット層が小中学生であるという点と、そもそもテレビを離れてYouTubeに駆け込んだユーザーは、テレビのような“ワザとらしい演出”や“作り込まれた作品”に辟易としているのかもしれません。チャンネル登録者数が617万人というYouTube界のトップであるヒカキンなどは、テレビでは見られないような自然体な姿勢や物言いがウケており、過剰な背伸びをしない。一方でテレビタレントやプロのお笑い芸人は、目の前にカメラのレンズがあればそこは戦場となり、オンとオフのスイッチを切り替えるよう稽古されてきたプロフェッショナル。柔らかさやユルさを求めるユーザーのニーズとは根本からズレているのかもしれません」(テレビ誌ライター)

 ユーチューバーに求められる要素が、“素人っぽさ”であることで、大きな推進力を得た無名芸人もいる。

「吉本興業所属のはいじぃというピン芸人が居ますが、彼は地上波テレビ番組でのブレイクのチャンスを逃し、5年ほど前からYouTubeに活路を見出すと、みるみるチャンネル登録者数を伸ばし、現在は57万7000人を突破しています。同事務所の大先輩である山本圭壱のチャンネル登録者が約3800人で、カンニング竹山が約4万8000人であることを考慮すると、とてつもない数字であることが分かります。かといって、はいじぃが何か特別で斬新な芸を披露しているわけではなく、淡々と商品紹介やグルメ紹介を等身大で進めているだけです」(前出・テレビ誌ライター)

“見た目は普通のお兄さんだが、ちょっとだけ面白い”。等身大な姿勢を崩さないユーチューバーの活動領域は、何千回と稽古し、芸のブラッシュアップを重ねたプロフェッショナルは足を踏み入れてはいけない特殊な場所なのかもしれない。

(木村慎吾)

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