毎年「8月4日、5日しか営業しない駅」そのワケとは?

 公共交通機関という特性上、年中無休が基本の鉄道駅。しかし、なかには例外的に期間限定で営業する臨時駅も存在する。有名なのはスキー場がオープンしている冬季のみ営業の「ガーラ湯沢駅」(新潟県湯沢町)だが、香川県には“1年にたった2日しか営業しない駅”がある。JR予讃線の「津島ノ宮駅」(香川県三豊市)だ。

 この駅正面に位置する「津嶋神社」では毎年8月4〜5日に「夏季大祭」が開催され、その時期に合わせて臨時駅が営業。今年は2日間で計64本の普通列車が臨時停車する。

 実は、全国的にも珍しい子供の守り神として古くから有名で、毎年2日間だけで10万人前後が参拝。その多くは小さな子供を持つ家族連れだが、近年では鉄道ファンの間でも聖地化。この時期にしか発売されない同駅の刻印が入った切符を買い求める人たちで特設切符売り場には長い行列ができている。

 津嶋神社は本殿だけが陸地から約250メートル離れた沖合の小島にあり、参拝できるのは夏季大祭の期間中のみ。しかも、20〜21年はコロナ禍で中止されたため、今年は3年ぶりの開催とあって例年以上の大混雑が予想されている。

 筆者は前回19年に取材で現地を訪れたが、駅に向かう列車は山手線の朝のラッシュ顔負けの大混雑。駅に着いてからも気温30度以上の猛暑の中、延々と続く行列を1時間以上並んでようやく本殿に到着。海風が吹いても汗が噴き出し、途中で泣いたりグズっている子供も多かった。いくら子供にご利益があるとはいえ、炎天下ではかなりキツそうだ。

 ただし、海岸から本殿まで架けられている橋はなんとも神秘的。いかにもSNS映えしそうで、これ目当てで撮影に訪れるアマチュアカメラマンたちも大勢いた。

 なお、停車は参拝時間に合わせているため、始発〜7時台、21時台以降(※5日は16時台以降)の列車は通過してしまう。訪れる際はくれぐれもご注意を。

(高島昌俊)

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