“核ゴミ調査”北海道寿都町、神恵内村ってどんなトコ?住民に話を聞いてみた

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、4月14日から核のごみ最終処分場の候補地となっている北海道寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村で住民との対話を行う。今回、それに先立って筆者は現地を訪問。地元住民たちが最終処分場についてどのように考えているのか聞いてみた。

 どちらも小樽やニセコなどがある後志(しりべし)地方にあり、最初に訪れたのは人口2830人の寿都町。実は、全国で初めて発電事業に取り組んだ自治体で、郊外には風力発電施設が現在も稼動中だ。

 そのせいか地元の拒否反応も強く、「エコエネルギーに力を入れていたはずなのに処分場建設なんて矛盾している」と憤るのは60代の漁業関係者の男性。50代の主婦も「処分場をわざわざ寿都に作る必要性を感じない」と納得いかない様子だ。実際、町役場の近くには《核のごみ最終処分場 建設絶対反対です》と書かれた看板も設置されていた。

 一方、寿都から海沿いの道を60キロほど北上した積丹半島の東側に位置する神恵内村ではそこまで強い反対の声は聞かれなかった。ここは住民わずか805人の北海道で2番目に人口の少ない過疎の村。町内にはコンビニが1軒もなく、70代の男性は「山が海岸線までせり出して農地に適した土地も少ない。漁業以外にこれといった産業もないから」とどこか諦めた様子だ。

 また、80代の男性は「村には原発関連の施設で働く者もいる。それで神恵内に人が残り、出て行った人間も戻って来てくれるなら……」と期待を込めて話す。南に隣接する泊村には泊原子力発電所があり、地元に与える恩恵は大きい。「このままでは将来的に先細るだけ」と危機感を口にしていた住民もおり、最終処分場候補地の立候補にも一定の理解を示す意見があった。

 ただし、処分場の選定までには長い調査期間を要し、現在は第一段階の文献調査が始まったばかり。処分場の建設予定地が決まるまでには20年はかかる見通しだ。

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