政府は2月10日、原子力発電所からの使用済み高レベル放射性廃棄物をめぐる「核のごみ最終処分場」について基本方針の改定案を取りまとめたことを発表。国民から意見を募集したうえで閣議決定する見通しだが、改定の背景には候補地が現時点でわずか2カ所しかない点などが影響していると見られている。
「現在の候補地は北海道の寿都町と神恵内村で、20年から第1段階の『文献調査』がすでに始まっています。しかし、さらにボーリングによって地中の状態を把握する第2段階の『概要調査』、実際に地下施設を作ったうえで影響などを調べる第3段階の『精密調査』がありますが、候補地が少なすぎて絞り込みすらできない状況です」(大手紙記者)
21年10月に寿都町で行われた町長選では、処分場推進派の現職の片岡春雄氏が再選。調査続行が決まったが反対派の候補とは235票の僅差で、住民の理解を得ているとは言い難い。候補地選定では自治体が反対した場合は次の調査に進めないため、途中で候補地から外れる可能性も大いにあるわけだ。
「やはり放射性廃棄物ですし、言い方は悪いですが一度処分場となってしまえば、その土地は二度と自然には還りません。建設されれば地元は確実に潤いますが、どの自治体でも間違いなく反発があるでしょう。候補地に名乗りを上げる自治体がないことに政府もかなり焦っているようです」(前出・記者)
そこで政府は、候補地を増やすべく処分事業の主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)や地元電力会社とのプロジェクトチームを新設。全国100カ所以上の自治体を訪問し、最終処分場の候補地に名乗りを上げてもらうよう協力を仰ぐ予定だ。
「ただし、これも簡単な話ではありません。地盤の安定性が重要なため、火山や活断層に近い地域はNG。その時点で場所が限られますし、相手は核なので自治体や住民の間でもアレルギー反応が強いので…」(前出・記者)
追加候補地なしという結果もありそうだ。