千葉ロッテの新外国人選手、アデイニー・エチェバリア内野手がようやく来日を果たした。米国出国前と日本到着時に行われたPCR検査は、いずれも陰性判定。今後は一定の待機期間を経てチームに合流する予定だが、紹介されているプロフィールには少し修正も必要なようだ。
「守備範囲の広い強肩遊撃手、内野ならどこでも守れるとありました」(スポーツ紙記者)
エチェバリアはメジャーリーグの複数球団を渡り歩き、昨年オフ、千葉ロッテと契約した。「身体能力の高い選手」として一目置かれていたが、攻守ともに低評価をバネにのし上がってきたタイプのようだ。
「2014年にマーリンズのレギュラーとして認められるようになりました。13年シーズンは米30球団のレギュラー遊撃手のなかで打率ワーストという不名誉な紹介のされ方もしましたが、それを教訓に翌14年には一気に打率を4分9厘も上げています」(在米ライター)
「守備能力は平均値以下」なる評価にカチンと来て、送球難の苦手克服に取り組んだこともあった。おかげで15年シーズンには初めてゴールドグラブ賞の最終候補に残り、本人も喜んでいたという。
「ほかにも出塁力が低いと言われれば、セーフティバントの練習をし、『ただバットを振り回しているだけ』と指摘されれば、右方向へのバッティングも練習する努力家です」(同前)
そんなハングリー精神の源は17歳で経験した国際試合にあるという。彼はキューバからの亡命選手で、17歳当時に参加したパンアメリカン・ジュニア選手権で初めて見た海外の町並みに、生活レベルの違いを痛感した。亡命を行動に移したのはその3年後。そのとき、たまたま同じボートに乗り合わせたのが、のちに読売ジャイアンツにも在籍したレスリー・アンダーソンだった。
マーリンズではイチロー、今季から阪神に移籍したチェン・ウェイン、田澤純一と同僚になっている。
「打撃に関しては好不調の激しい欠点がありますが、守備力はまだ衰えていません」(同前)
素質はあったのだろうが、苦手克服の努力で「攻守の遊撃手」の地位を勝ち取った。今後の調整がうまく行けば、交流戦で元同僚のチェンとの対決も実現するかもしれない。「もっと打てるはずだ!」の活が入ったら、持ち前のハングリー精神も発揮してくれそうだ。
(スポーツライター・飯山満)