他球団スコアラーの「田中将大評」とは/プロ野球「12球団のアキレス腱」(2)

 コロナ禍に振り回された昨シーズンとは打って変わり、予定通りペナントレースの幕が上がった。ところが球界の事情通たちの話に耳を傾けると、そこかしこに致命傷となりかねない泣きどころがあるわあるわ。とことん語り尽くしてもらおうではないか。

B 中日では、今年から古巣復帰を果たした福留孝介(43)の扱いが不自然です。キャンプ中の練習試合で結果を残しても、開幕ギリギリまで1軍昇格は見送られてきました。

E 与田剛監督(55)の意向が大きく働いている。阪神時代から首脳陣批判をしてヒンシュクを買っていた福留は、チームの分断を招く存在になりかねないから。

A 参謀役だった伊東勤ヘッドコーチ(58)も今や蚊帳の外。投手だけでなく野手の起用まで、与田監督が権限を握っている。それだけに、選手に影響力のある福留の存在は邪魔で仕方ないんだろう。

D 最後まで獲得には反対していましたからね。世代交代を方便に、福留を2軍に幽閉しようと試みましたが、肝心の根尾昂(20)や岡林勇希(19)ら若手の打率は2割そこそこの体たらく。しびれを切らせた大島宇一郎オーナー(56)が、福留を昇格させるよう命じたと言われています。

C 火種となりそうな構図だ。

B 同じく球団のレジェンドが復帰した楽天ですが、田中将大(32)の大歓迎ムードも落ち着いてきました。

A 確かに。今はマー君に付きっきりで張りつく記者もいないよ。24勝した13年ほどの絶対的な投球は鳴りを潜めているからかな。

D 体に悪いところもないし、今は多少打たれていても、シーズンに入れば普通に勝てると思います。ただし、現在のスピードを落としてコントロールを重視するスタイルがどれほど通用するかは不透明です。

B 今は調整段階でしょうが、勝負どころではギアを上げて強いストレートを投げ込まなければならないのに。実は他球団のスコアラー間では、もう力勝負ができないとささやかれ始めています。

A 実際、ヤンキース時代の後半は目に見えてストレートのスピードが落ちていた。ここ数年は1シーズンの被本塁打が20本を超えていたと思います。オファーに尻込みしていたメジャー球団は、そこを疑っていたようだね。マー君の不穏情報には、石井一久GM兼監督(47)も内心穏やかではないはずだよ。

C その石井監督は、今季から走塁面を改革しようと指令を出している。

B 昨シーズン、リーグワーストの盗塁数を爆増させる計画ですね。パ・リーグの上位に食い込むには、ソフトバンクの周東佑京(25)やロッテの和田康士朗(22)のような走塁のスペシャリストが不可欠ですから。

D かつて俊足で甲子園を沸かせた、オコエ瑠偉(23)の覚醒に期待したかったですが‥‥。

A 2月に左手関節の手術を受けたばかりだけど、球団発表の前に自身のSNSで勝手に公表して球団は大慌て。立腹の石井監督もすでに見放している。春季キャンプ中、オコエについて尋ねられても「いない選手に期待してもしょうがない」と辛辣だった。

A:ベテラン遊軍記者/B:民放局プロ野球中継スタッフ/C:球界OB/D:NPB関係者/E:スポーツライター

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