提訴の動きも!貧困層がすがる「後払い現金化サービス」は”ヤミ”なのか?

 またまた、コロナによる生活困窮者をターゲットにした新たな「システム」の登場か?

 3月17日、大阪府内在住の20〜50代の男性5人が、「後払い現金化」と呼ばれる商法は貸金業法などに抵触する違法行為で被害を受けたとして、業者6社に対し約110万円の損害賠償を求め、大阪簡裁などに一斉提訴したことが、複数のメディアで大きく報じられた。

「後払い現金化」と聞いてもピンとこないが、実はこれ、価値のない商品を代金後払いで購入させて、一部を即座にキャッシュバックする形で現金を融通。後日とんでもない金利を請求するという商法で、同様の被害が急増しているのだという。全国紙社会部記者が語る。

「この手の業者が運営するサイトで扱う商品は、風景写真や電子書籍、絵画のほか、『収入を得るための情報を有料で紹介する』などさまざま。それを価格は1万円から20万円ほどで購入させ、商品レビューを書いてくれれば半分ほどの金額を報酬として支払います、と謳っています。しかもサイトには『借金の履歴が残らない』などの文言が並んでいるため、借金ではないという認識で利用する人が急増しているようです。ただ、実態は法律で定められた上限の数十倍にあたる金利で貸し付けを行っているのと同じですから、結果的に多重債務の状態に陥るケースは非常に多い」

 実際、「後払い現金化」サービスを利用、20万円を支払うことになったAさん(41歳)はこう語る。

「勤務する飲食店が昨年秋から時短になり、収入が半分ほどになってしまったんです。でも、家族を養っていかなければいけない。そんな時、たまたまサイトで『後払い現金化』を知り5万円で風景写真を購入、レビューを書きました。すると、すぐに3万円が振り込まれたのですが、後日、購入代5万円の支払いが求められて……。要はレビューを口実にした借金に過ぎなかった。しかも、利息は2万円ですから、年利に換算すると約3000%。うわ~、やられたと思いましたよ」

 しかし、後の祭りだ。生活が困窮していたAさんは、2万円を払うことが出来ず、別の数社のサイトを利用、結果、支払総額は20万円に膨らんでしまったという。

「一日でも返済が遅れると、深夜・早朝を問わずLINEで『刑事告発します!』というメッセージが送られてきたりしました。最終的には実家に泣きついて、金を工面してもらいましたが、自分が蒔いた種とはいえ、本当に生きた心地がしませんでしたよ」(Aさん)

 前出の社会部記者によれば、昨年秋ごろからAさんと同様な被害が急増しているそうで、

「現在、この手の業者は100社前後あると言われ、大半がコロナ禍が始まった昨年春以降に設立されています。今回の大阪での一斉提訴は後払い現金化に関する事案では全国初ですが、この動きには当局も注視しているはずです」

 旨い話には必ず裏がある。目先の現金を得るため安易に手を出してしまうと、トラブルに巻き込まれる恐れがあることを忘れてはならない。

(灯倫太郎)

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