原監督が守護神候補をぶつけた真意は?高卒ルーキーにかかる「史上初の快挙」

 巨人球団史に残る「歴史的快挙の序章」なのかもしれない。

 2月22日、巨人の紅白戦が行われ、赤マル急上昇中の“超大型新人”秋広優人内野手が「ゲームセットの最後のバッター」となってしまった。

「中川皓太投手が圧巻のピッチングを見せました。変化球であっという間に追い込まれ、最後はストレートで見逃し三振に倒れました」(スポーツ紙記者)

 中川はクローザー定着を目指している。首脳陣へアピールしたい気持ちもわかるが、ベンチに戻ってくるなり、チームメイトに掛けられた言葉は「大人げない!」というものだった。18歳の高卒ルーキーに対し、変化球は1段階ギアを上げてから投げた。しかも、最後に投じたストレートはクイックモーションでタイミングを狂わす“オトナの芸当”だった。

 チームメイトが掛けた言葉はもちろん冗談だが、見方を変えれば、秋広には対戦投手を“本気にさせる雰囲気”があるのだろう。

「過去、大物スラッガーが入ってくると、紅白戦、オープン戦で容赦なく攻めてくる投手がいました。そういうケースは多々あり、その反対に、ご祝儀代わりに『打ってごらん』と、直球勝負に出ることも少なくありません。中川が厳しく攻めたのは、秋広に対するエールでしょう」(球界関係者)

 一方の秋広だが、中川に投じられたスライダーを指して「消えた!」と驚いていた。すごいものを見せられたとでも言うべきか、その表情はむしろ嬉しそうだった。

「左ピッチャーの守護神候補・中川に対し、左バッターの秋広をあえて打席に立たせました。原監督は公式戦でも使うつもりがあるから、あえて代打を出さなかったのでは…。対左ピッチャーの経験をさせたかったのだと思います」(前出・球界関係者)

 開幕スタメンを勝ち取れば、高卒野手では1959年の王貞治氏以来となる。そのときの王氏の成績は2打数無安打。秋広が栄誉を勝ち取り、ヒットを放てば、球団史上初。“対左投手の洗礼”が歴史的快挙の序章となればいいのだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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