紀州のドン・ファン事件現場は今「外壁はピカピカでドアノブにビニールが」

 和歌山県田辺市の資産家で、「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助さん(享年77)が自宅で不審死を遂げたのは2018年5月24日のこと。妻の須藤早貴被告が殺害の容疑で逮捕されたのは、それから3年後、2021年4月28日のことだった。その後、彼女は起訴されたが、いまだに裁判は行われていない。司法ジャーナリストが語る。

「須藤被告は殺害の他に、薬物を使用した容疑や野崎さんが経営していた会社の資金を詐取した疑いなどで起訴されました。しかし、詐欺の件に関しては、和歌山地検は不起訴処分としています。地検は十分な証拠がそろわなかったことを理由としています。一方、殺害事件の裁判については、おそらく裁判員裁判になると見られていますが、こちらも裁判員が審理を進めるのに十分な物的証拠が不足しているのでは…。須藤被告については、一部メディアが『保釈された』などと報じていましたが、おそらく刑事施設に勾留されたままでしょう。長らく接見禁止となっているので、いっさい情報が外に出てこないのです」

 不可解な事件が発生して5年が経とうとしている。2018年の事件発生後には多くの報道陣が押し寄せたが、現場は今どうなっているのか。5月某日、田辺市の“ドン・ファン邸”を訪ねると、主がいなくなった今も厳かに佇んでいた。派手な装飾が施された外壁に目立った汚れなどはなく、ドアの脇に置かれた鉢植えや壁の向こうに見える松の木も、よく手入れがされているように見える。近隣住民に話を聞くと…。

「誰かが定期的に訪ねてきている様子ですよ。清掃する人も入っていて、壁はいつもピカピカですよ。中は空っぽだと思いますけど、やっぱりこれだけの豪邸ですからね。ユーチューバーとかが面白半分で入ってきたり、ホームレスの方が侵入しないように、役所の方が定期的に見回りに来ていると聞いています。そうそう、玄関のドアノブに、ペットボトル飲料などが入ったビニール袋がかけられているのをよく見かけますよ。中で管理されている方への差し入れかしらね?」

 登記を調べると、約90坪の土地、ならびに家屋は「遺贈」という形で田辺市の所有となっていた。一刻も早い真相解明が待たれる。

(福島シゲル)

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