鉄拳制裁に殴り込み…YouTubeの“暴力系動画“に親世代が悲鳴

 近年、小学生がなりたい職業ランキングで上位にランクインするようになった職業が「ユーチューバー」だ。登録者数が100万人超えの人気ユーチューバーとなれば子どもたちの憧れの的で、数多くのチャンネルが乱立する群雄割拠の時代を迎えている。

 その一方で、不謹慎な内容や犯罪行為などを配信するいわゆる「迷惑系ユーチューバー」への世間の風当たりも厳しく、業界ではコンプライアンスのよりいっそうの強化が叫ばれている。

 そんな中、あるジャンルの動画が一部で流行しているようだ。

「ここ最近は、プロ格闘家が喧嘩自慢の素人とスパーリングを行うという番組が人気です。たとえば、総合格闘家の朝倉未来選手、K-1ファイターの安保瑠輝也選手や久保優太選手をはじめ、キックボクサーの駿太選手など、錚々たるメンツが同様の企画の番組を配信しています。その内容は基本的に、かつて地上波で放送されていた『ガチンコ!』(TBS系列)の企画『ファイトクラブ』のようにいかつい不良たちが登場し、プロの鉄拳制裁を受けるという構図。昨年は『K-1 DX』の特別エキシビションマッチという大舞台でもこうしたカードが組まれたこともあり、今後もますます人気の企画となっていくでしょう」(ネットメディア系記者)

 たしかに、とある格闘家のYouTubeチャンネルをチェックしたところ、「ジムに殴り込み」「喧嘩自慢にスパーリングを申し込んだ」「ヤンキーに鉄拳制裁」など、きわどいワードが目につく。しかもそれらの動画は、いずれも200万回以上という驚異の再生数をマークしていた。

 そしてこうした喧嘩自慢系の動画に苦言を呈す声もある。小学生の娘を持つ母親(40代、都内在住)は次のように語る。

「演出とはわかっているのですが、正直ああいう暴力的な番組は娘には絶対に観せたくありません。不良たちが相手を威嚇して暴力で勝ち負けを決める。しかもプロ格闘家が素人を殴るって……。以前、娘がユーチューブの関連動画で流れてきた喧嘩自慢系の動画を偶然観てしまったようで、かなりショックを受けていました。同級生の親御さんたちに聞いてみると、娘のクラスメイトの何人かもあの手の動画を観たことがあるそうで、同じような悩みを抱えていました。昔と違って、いまはテレビでは過激なシーンをあまり流さなくなりましたが、ユーチューブには溢れています。時代錯誤に感じてなりません」

 小学生にスマホを持たせたり、専用のパソコンを与えたりすることが珍しくなくなった昨今、子供の動画視聴に頭を悩ませる親は予想以上に多いようだ。YouTubeでは「制限付きモード」の設定で、過激なコンテンツを子供が視聴しないようにすることも可能だが、そもそも同サイトは13歳未満の子供が視聴することを推奨していない。親が子供に見せたくない暴力シーンが完全に排除される日は遠いかもしれない。

(橋爪けいすけ)

ライフ