ブリ、鯛、ナマズをどう食べる?「さばけるチャンネル」が漁業と家計を救う

 巣ごもり生活の影響で趣向を凝らした「おうちご飯」の需要が高まる中、料理に目覚める男性が急増している。そんな男性たちの間で人気なのが、YouTubeで100種類以上もの魚のさばき方を解説している「さばけるチャンネル」だ。

 同チャンネルは、2016年7月に「海離れや、魚離れが進んでいると言われている今の若者をターゲットに、『魚をさばく』ことを通して海への関心を高め、海洋環境の保全や、海の幸を大切にいただく食文化の継承を目指すムーブメント」の一環として、「日本さばけるプロジェクト実行委員会」が開設したものだが、

「監修が服部栄養専門学校ということもあって、プロの手業が惜しみなく公開されていますからね。しかも、扱う魚も日常食卓に並ぶ、サンマやアジ、サバといったメジャーものから、ハッカクやナマズ、うちわ海老など、おそらく家庭では調理しないけれど、興味をそそる魚まで何でもあり。さばき方をメインにして、『小鉢の作り方』『つまの切り方』といった関連動画もあるので、晩酌好きの料理心をくすぐること請け合いです。どの動画もだいたい3分前後ですが、包丁を入れるポイントや角度をわかりやすく見せるために撮影には複数台のカメラを使用。さばき方のわかりやすさに加え、美しさにも、かなりこだわった作りになっています。そんなこともあり、巣ごもり生活がスタートした昨年春頃から一気に登録者数が急増。現在は国内だけでなく海外からの閲覧も増えていているそうです」(フードライター)

 そんな「さばけるチャンネル」では、1月24日、全国各地で魚をさばく体験を積極的に提供している「さばけるキーパーソン」が集い、魚にまつわる文化・歴史・環境の知識を共有し、意見交換する「さばけるサミット2021」をライブ配信。こちらも多くの「高評価」がついて大盛況だったようだ。

 現在、同チャンネルの登録者数18.5万人(1月末現在)。ちなみに人気の動画は1位が「ブリ」の視聴回数148万回、次いで「真鯛」の123万回で、「スッポン」も視聴回数86万回と、なかなかの人気ぶりだ。

「日本料理店やレストランなどの時短営業により、客足が減少している今、鮮魚の供給がダブついていますからね。昨年にはブリの養殖業者が飲食店に卸すような高級ブリを4割引きで一般販売して話題になりましたが、都内の鮮魚店でもパックの切り身だけでなく一匹まるごと販売するケースが目立ちます。『さばけるチャンネル』では真鯛、スッポン、そしてタコや鮭を扱った動画が再生回数60万超えとなっていることから、飲食店向けの魚介が、それだけ一般家庭でも消費され始めたということでしょう。とくにブリや鯛の養殖業者は、経営的にも厳しく、餌代もバカになりませんからね。救われるのは漁業従事者だけではありません。パックの刺身を買うのと一匹まるごとでは金額に換算して4倍以上もお得とのデータもあります。家計のためにも、巣ごもり時間を利用して、どんどんチャレンジしてもらいたいですね」(ネットライター)

 もしもスーパーや鮮魚店で、さばいたことのない魚の「一匹売り」を見かけたら、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

(灯倫太郎)

※写真はイメージです

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