決定!プロ野球ワーストナイン【投手編】最悪防御率投手と西武・松坂の去就

 2020プロ野球シーズンの「ワーストナイン」を決める本企画も投手編へ。6連戦が続く日程は、多くの投手に負担を強いたか。フルボッコにされた試合を思い返して来年の糧としたい。

 パの先発部門では、楽天のエース・則本昂大(29)が選ばれた。18試合に登板して、5勝7敗防御率3.96という低調な成績で終幕。2年連続して1桁勝利(昨季5勝)だが、年俸は3億円。1勝あたり6000万円という計算になる。伊原春樹氏が意見する。

「楽天のエースだからね。彼もピッチングのパターンを変えていかなきゃいけないですよ。3年前までは三振奪取の数がすごかったけど、もはやそれだけのキレがなくなっている」

 則本の奪三振数は14年から17年まで4年連続で200を超えたが(ピークは17年の222)、18年から減少し、今年は107だった。

 同じく楽天では、志願して先発に回ったものの結果が伴わず、後半は本来のリリーフに戻った松井裕樹(25)も期待外れだった。防御率は3.18(昨季1.94)と、シーズンを通してしっくりこなかったものだ。内藤尚行氏が語る。

「僕は無理だと思ってました。抑えという役割で結果を出して2億5000万円という年俸をもらっているわけですから、専門職として徹するべきでした。『投手は先発』的な考えがあったから、先発を志願したのでしょうが、僕が監督、コーチだとしたら絶対にさせません」

 その松井に代わって守護神を任されたブセニッツ(30)は「救援試合ぶち壊し」7回の王者に君臨。そもそも抑えには向いていないと、伊原氏は厳しい見方をする。

「三木監督も、よくリードしてる時に性懲りもなく使ったよね。球は速いけど、変化球と緩急がないし、コントロールが不安定なのが致命的。カウントを悪くすると、まっすぐしかないから狙われますよ」

 楽天のリーグ4位という失速要因は、投手陣の不調が大きく影響したようだ。

 セでも横浜の山﨑康晃(28)が、本来の力を発揮できずにセーブ失敗「5」を重ね、後半は負け試合にも登板させられた。

「康晃は3億5000万円ももらってるの? 実は、クロスしてアウトコースに投げるという、まったく理にかなっていない投げ方なんです。彼の場合、先発は無理でしょうね」(内藤氏)

 抑えの切り札、そして先発としても活躍した角盈男氏も同調する。

「抑えから先発に回るには、メンタルだけではなくて、技術的な根拠も必要です。抑えは10球だったら10球完璧な球を目指す。だから球種が少なくてもいいわけです。ところが先発は、緩い球や遊び球、ピッチングの幅がないと2巡目、3巡目にはつかまります。抑えをやっていると、毎日出るから週に1度の先発をうらやましがるものです。ところが今の人たちはリリーフで何億も稼ぐわけですから、リリーフのほうがいいんでしょうね。俺らの頃は、先発ができない投手がリリーフをやっているという発想でしたけどね」

 さて、登板のないままシーズンを終えた西武の松坂大輔(40)が、早々に来季の契約を勝ち取った。角氏は苦言を呈する。

「現役を続けるのはもちろん本人の自由だけど、俺らの世代の野球選手たちには引き際の美学があった。今の選手は全盛期にいっぱいお金をもらってるから『いらない』と言われるまで好きな野球をずっとしていたいんでしょう。でも、松坂には投げてほしくない。昔の『怪物』と呼ばれたあの面影が、今はまったくないから。もともとチームの戦力として計算されてないわけですから。投げられないのは本人がいちばん悔しいだろうけどね」

 成績がどうこうと論じられる以前の問題もあるのだ。

※記事中の年俸はいずれも推定金額です

■ワーストナイン投手編2020データ

【先発最多敗戦】

パ:有原航平(日)9敗 セ:青柳晃洋(神)9敗

【最悪防御率】

パ:石川歩(ロ)4.25

セ:青柳晃洋(神)3.36

*規定投球回以上登板の投手が対象

【最多被本塁打】

パ:石川歩(ロ)19本 パ:松本航(西)19本 

セ:小川泰弘(ヤ)20本

【最多与四球】

パ:千賀滉大(ソ)57個 

セ:遠藤淳志(広)52個

【最多与死球】

パ:石川柊太(ソ)12個 

セ:菅野智之(巨)7個

【最多暴投】

パ:マルティネス(日)8個 

セ:勝野昌慶(中)7個

【不安定先発王】

1位:美馬学(ロ)52.63%(19先発10QS、10勝4敗)

2位:田嶋大樹(オ)60.0%(20先発12QS、4勝6敗)、九里亜蓮(広)60.0%(20先発12QS、8勝6敗)

3位:青柳晃洋(神)61.9%(21先発13QS、7勝9敗)

4位:有原航平(日)65.0%(20先発13QS、8勝9敗)

*規定投球回数以上登板の投手対象でQS(6回自責3点以内)率の低さ

【救援試合ぶち壊し王】

1位:7回 ブセニッツ(楽)

2位:6回 益田直也(ロ)

3位:5回 ディクソン(オ)、山﨑康晃(D)

4位:4回 フランスア(広)

*リード、同点の状況で登板して守り切れなかった回数

【1イニング炎上王】

1位:7点 坂本裕哉(D)、星知弥(ヤ)、佐藤優(中)、鈴木優(オ)

2位:6点 パットン(D)ら19人

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