「アサヒ芸能」恒例企画となったプロ野球ワーストナインもいよいよ大詰め。高額年俸に見合わない“期待外れ”の成績に終わった投手、野手が出そろった(※データは文末に掲載)。さて、無観客試合など異例の開幕となった今シーズン、コロナに振り回されて正気ではいられなかったか、不可解なプレーが頻出した。赤っ恥のシーンを思い返そう。
9月3日、阪神戦で3─2とリードする7回、一死一、三塁の場面でヤクルト3番手・マクガフ(31)が登板。近本に対する2球目の直後に1塁走者の陽川が盗塁した。この時点で2、3塁である。しかし3球目を投げた直後に、なんとマクガフが一塁へ牽制! ボールは一塁側のブルペン後方、ファウルゾーンを転々‥‥。このシーンを現場で見ていた内藤尚行氏が口を開く。
「思わず『ウソやろーっ!』と叫びましたよ。前代未聞でしょう。野手がノーマークのところに送球したら、セカンドランナーは歩いてでもホームに帰れます。あれが決勝点ですから、フォローのしようがない。マクガフはもちろん、キャッチャーの西田明央(28)含め、内野全員が悪い。コミュニケーション不足ですよ」
今季は賛否両論を呼んだ起用法も話題となった。7月7日、野手を使い切った中日・与田剛監督(55)は、延長10回、二死満塁のサヨナラ機に投手の三ツ間卓也(28)を代打に送り、空振り三振でゲームセット。伊原春樹氏が異議を唱える。
「これはいかんでしょう。監督と、補佐してる伊東勤ヘッドコーチ(58)の責任ですよ。監督は全体のことを見ているから、選手起用の面ではうっかりミスがあります。常に使った使わない状態は整理しておかないと。それは助言するヘッドコーチの仕事です」
一方、通算本塁打3本を誇り、独立リーグ・新潟アルビレックスBCで監督を務めた内藤氏は、与田采配を支持する。
「これ、全然ありだと思いますよ。僕はバッティングが好きだったんで、むしろ代打に使ってほしかった。代打で出たい投手もいるんですよ。これは与田監督の色。自分色が出るぐらいの采配をしなきゃダメなんですよ」
8月6日には、巨人の原辰徳監督(62)が11点の大量リードを許している試合で、野手・増田大輝(27)を投手として起用したことがある。伊原氏は皮肉まじりに、
「これもなしですよ。中継ぎを休ますため? それは理由にならない。中継ぎ投手だって生活がかかってるんだから。負け試合だって、抑えればいい場面で使ってくれるようになるでしょう。チャンスなんですよ。原監督も長嶋さん的なひらめきがあるから、それを見せたのかな」
とはいえ、そんな巨人の独走で、セは波乱もなく幕を閉じた。ふがいなく敗れ去った5球団の監督に、角盈男氏は訴える。
「セは原監督の天下。野手の投手起用しかり、やりたいことを全部やった。なんで原監督が奇策をやって、他球団がオーソドックスな采配してるのって思うよ。今、中日の監督って誰でした? サラリーマンが監督をやってるみたいな色のなさ。みんな、原監督に遠慮してる感じがするね。昔だったら長嶋さんにノムさんが口撃したり、星野さんが乱闘で王さんに突っかかったり、野球というスポーツで戦争していた。もっとエンターテインメント性が欲しいよね。グラウンドに出たら先輩後輩、関係ないですよ。『原、コノヤロー』と猛然と挑む監督が出てきてほしい。このままだと、品のいい仲よしクラブになっちゃうなぁ」
お前がやらなきゃ誰がやる。ワーストナインを起用するもしないも、監督しだいなのである。
■12球団ワースト珍記録2020
【1点差負け試合数】
<セ・リーグ>
1位:16回 DeNA
2位:15回 ヤクルト
3位:14回 巨人
4位:13回 広島
5位:11回 阪神
6位:4回 中日
<パ・リーグ>
1位:22回 オリックス
2位:17回 日本ハム
3位:16回 ソフトバンク
4位:14回 ロッテ、楽天
5位:10回 西武
【10点差以上負け試合数】
<セ・リーグ>
1位:3回 ヤクルト
2位:2回 巨人、中日
3位:1回 阪神、広島
4位:0回 DeNA
<パ・リーグ>
1位:3回 西武
2位:2回 楽天、日本ハム
3位:1回 ロッテ、オリックス
4位:0回 ソフトバンク
【完封負け試合数】
<セ・リーグ>
1位:12回 阪神
2位:11回 DeNA
3位:10回 中日、ヤクルト
4位:7回 広島
5位:5回 巨人
<パ・リーグ>
1位:12回 ロッテ、オリックス
2位:8回 楽天
3位:6回 西武、日本ハム
4位:5回 ソフトバンク
【球界ワーストトピック】
1位:ジャクソン(ロッテ)が違法薬物所持で逮捕
2位:原監督(巨人)に「賭け麻雀」報道
3位:平尾2軍コーチ(西武)が選手私物を窃盗
4位:阪神とロッテでコロナクラスター発生
5位:菊池(広島)が元交際相手から高額慰謝料請求
■ワーストナイン(総合)
<セ・リーグ>
先発:ジョンソン(広)年俸2億7250万円 10試合 0勝7敗 防6.10
抑え:山﨑康晃(横)年俸3億5000万円 40試合 0勝3敗 6S 8H 防5.68
捕手:小林誠司(巨)年俸1億円 10試合 .056 0本 0点
一塁:ボーア(神)年俸2億7250万円 99試合 .243 17本 45点
二塁:山田哲人(ヤ)年俸5億円 94試合 .254 12本 52点
三塁:マルテ(神)年俸1億4170万円 29試合 .252 4本 14点
遊撃:田中広輔(広)年俸1億5000万円 112試合 .251 8本 39点
外野:陽岱鋼(巨)年俸3億円 38試合 .238 1本 6点
外野:福留孝介(神)年俸1億3000万円 34試合 .154 1本 12点
外野:糸井嘉男(神)年俸4億円 86試合 .268 2本 28点
<パ・リーグ>
先発:則本昂大(楽)年俸3億円 18試合 5勝7敗 防3.96
抑え:ブセニッツ(楽)年俸9000万円 46試合 1勝4敗 18S 13H 防2.86
捕手:森友哉(西)年俸2億円 104試合 .251 9本 38点
一塁:山川穂高(西)年俸2億1000万円 102試合 .205 24本 73点
二塁:外崎修汰(西)年俸1億4000万円 120試合 .247 8本 43点
三塁:松田宣浩(ソ)年俸4億5000万円 116試合 .228 13本 46点
遊撃:今宮健太(ソ)年俸2億9000万円 43試合 .268 6本 22点
外野:福田秀平(ロ)年俸1億2000万円 62試合 .216 5本 19点
外野:王柏融(日)年俸1億円 52試合 .207 2本 9点
外野:ジョーンズ(オ)年俸4億3600万円 87試合 .258 12本 43点
DH:バレンティン(ソ)年俸5億円 60試合 .168 9本 22点
※記事中の年俸は全て推定