決定!プロ野球ワーストナイン【野手編】得点圏打率で最下位の遊撃手とは?

 コロナ禍の異例シーズンとあっては、調整に戸惑い、本来の力を発揮できなかった選手も多かっただろう。それでも高額な年俸は満額支払われている。期待外れに終わったワーストナインの「野手編」をここに発表。打てない、守れない、走れない‥‥。コロナ禍といえど、かくも寒々しい成績ではワーストナイン選出に文句も出ないだろう。

 セの遊撃手には、得点圏打率が両リーグ通じてワーストを記録し、満塁打率も0割9分1厘と圧倒的な勝負弱さが露呈した広島・田中広輔(31)が選ばれた。

 東海大相模高時代から田中を知る、角盈男氏が手厳しく語る。

「田中はここ2年ずっと調子悪いよね。佐々岡監督はなんで使うんだろう。ベンチには18年ドラ1の小園も控えてますよ。すでにベテランの域に達してるわけだから、最低でも2割7~8分は残さないとダメでしょう」

 田中がランナーのいる場面で打ったところをほとんど見たことがない、と嘆く伊原春樹氏が付け加える。
「初球を見逃して三振というパターンが多すぎる。去年は膝が悪かったけど、今年は治ってるわけだから、見切り時でしょうね」

「満塁好機ぶち壊し」ランキング(※データは文末に記載、以下同)で堂々の1位となったのは西武・源田壮亮(27)である。
「源田はひどいね。中日の京田陽太(26)は11─0だけど、いちおう打点が3ある。源田は6─0で三振2。6回も回ってきて打点0はダントツでダメ。京田は6400万円の選手で、源田は1億4000万円の高給取りですからね」(角氏)

 同率1位という結果の京田について、ギャオス内藤こと内藤尚行氏も納得する。

「4三振の京田は、見てて打てそうになかった。このランキングに載ってる選手は不器用な選手ばかりで、みんな、キャプテン級。満塁でいちばんダメなのは三振です。内野ゴロはエラーするかもしれないけど、三振はまったく動きが取れませんから。ノーアウト満塁で三振されると、次のバッターのプレッシャーがものすごいんです」

 満塁打率でワースト10に滑り込んだ、年俸4億5000万円のソフトバンク・松田宣浩(37)について、伊原氏はあきれながら言う。

「チームのムードーメーカーだから、必要不可欠な存在なのかもしれない。でも、ランナーが出ている場面でことごとく三振、ゲッツーというシーンばかりだった(得点圏打率2割4分)。今年の工藤監督の七不思議は、この成績の松田を起用して、内川を一度も1軍に上げなかったことだね」

 昨オフ、4年4億8000万円プラス出来高という大型契約でロッテにFA移籍しながら、ベンチでくすぶっていた福田秀平(31)も槍玉にあがった。

「ケガもあったけど、結局、センターのレギュラーを獲れずに終わった。ソフトバンクではスーパーサブ的なポジションだったけど、これでは単なるサブ。『やっぱり控えの選手なんだな』と思われちゃうんですよ」(角氏)

 シーズンが終わるやいなや、山田哲人(28)が7年総額35億円という破格の契約でヤクルトに残留した。三冠王も狙える選手のはずが、今季はさんざんな成績に終わっている。FA流出阻止のためとはいえ、この巨額契約にはOBの内藤氏も首をかしげている。

「前半は調子よかったけど、今年はどうしちゃったんでしょう。しかもそんな契約をしてしまったら、昨シーズンまでの好成績を維持できるのか疑問です」

 ところで、捕手も打てなければ話にならない。昨季のパ首位打者の西武・森友哉(25)も期待外れの打撃成績に終わり、ワーストナインに選ばれた。角氏は巨人の小林誠司(31)をワーストナインに選んだと、その理由を語る。

「これは明らかに時代の変化ですね。森が最多パスボール7でも年俸は2億円。今までは捕手の打撃には目をつぶっていた。でも捕手も打てないとレギュラーは獲れませんよという時代。その典型が巨人で守るだけの小林と打つだけの大城卓三(27)ですよ。ノムさんが亡くなって、捕手のリードを評価する人がいなくなってしまった」

 ここ数年、捕手のリードや盗塁阻止率は重視されない傾向にあり、投手との共同作業であるクイックモーションも緩くなっているという。内藤氏によれば、

「だから今、足の速いスペシャリストがブームなんですよ。ランナーの質が上がっています。走る雰囲気さえ出さず、ソフトバンクの周東なんか見てると第一歩がメチャメチャ速い。レギュラー捕手でも2割程度しか盗塁阻止率がないと、ほぼ走られている計算。ただし、盗塁阻止率はあまり年俸の査定には関係ないようで、それよりもキャッチャーはピッチャーに何勝させたかを気にしていますね」

 一方、昨季は盗塁王に輝き、盗塁成功率8割0分3厘(51─41)を誇った西武の金子侑司(30)が、今季は企図数を大きく下げ「盗塁無駄死に」ランキングのワースト6位に名を連ねている。

「バッティングが悪いから出塁率も落ちていた。大事な場面で走ってアウトになると、またアウトになるかもしれないと思い、スタートが切れなくなる。盗塁にもスランプはありますよ。金子が1億2000万円ももらってたって? 考えられないね」(伊原氏)

 ワーストナイン選出は、成績に見合わない年俸が大きく左右する。

※記事中の年俸は全て推定

■ワーストナイン野手編2020データ

【最低打率】

パ:山川穂高(西).205

セ:ボーア(神).243

【最低得点圏打率】

パ:マーティン(ロ).207

セ:田中広輔(広).167

*上記2つは規定打席到達の打者対象

【最多三振】

パ:スパンジェンバーグ(西)150個 

セ:村上宗隆(ヤ)115個

【最多併殺打】

パ:中田翔(日)19本 

セ:阿部寿樹(中)21本

【最多捕逸】

パ:森友哉(西)7回 パ:清水優心(日)7回 セ:戸柱恭孝(D)7回

【満塁好機ぶち壊し王】

1位:.000 源田壮亮(西)(6打数0安打0犠飛0打点2三振)、京田陽太(中)(11打数0安打0犠飛3打点4三振)

2位:.091 田中広輔(広)(11打数1安打0犠飛3打点3三振)、松山竜平(広)(11打数1安打1犠飛6打点2三振)

3位:.100 宮﨑敏郎(D)(10打数1安打2犠飛7打点3三振)

4位:.111 中田翔(日)(9打数1安打6犠飛9打点1三振)

5位:.125 T‐岡田(オ)(8打数1安打1犠飛6打点5三振)

6位:.143 鈴木誠也(広)(7打数1安打0犠飛6打点3三振)

7位:.154 エスコバー(ヤ)(13打数2安打0犠飛4打点4三振)

8位:.167 松田宣浩(ソ)(6打数1安打1犠飛2打点2三振)

【盗塁無駄死に王】

1位:.461 エスコバー(ヤ)(13-6)

2位:.470 山崎晃太朗(ヤ)(17-8)

3位:.500 栗原隆矢(ソ)(10-5)

4位:.555 木村文紀(西)(9-5)

5位:.600 鈴木誠也(広)(10-6)

6位:.608 金子侑司(西)(23-14)

*盗塁数50位までの選手対象で盗塁成功率の低さ

【走られ放題王】

1位:.200 清水優心(日)

2位:.222 會澤翼(広)、田村龍弘(ロ)、若月健矢(オ)

3位:.277 西田明央(ヤ)

4位:.290 宇佐美真吾(日)

5位:.312 森友哉(西)

6位:.328 甲斐拓也(ソ)

7位:.333 梅野隆太郎(神)

8位:.340 大城卓三(巨)

*65試合以上出場の選手対象で盗塁阻止率の低さ

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