冷蔵庫に100万円!法廷で暴かれた違法薬物の販売拠点【ギョーテン裁判傍聴記】

 お笑い芸人で裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火が2020年の記憶に残る裁判を振り返る本企画。かつてナイジェリア人の密売グループが一斉摘発されたが、その“残党”が違法薬物所持(販売目的)の容疑で裁かれることに。その拠点とされる自宅に隠し持っていた驚きのブツとは?

 ドクロマークや世界的なキャラクターの柄が描かれたカラフルなビニールの小袋に違法薬物を入れて販売していたとして、ナイジェリア人らの外国人グループが摘発されたのが2019年春。六本木を中心に街角で通行人に声を掛けて違法薬物を売っていたらしいですね。売っていたのは通称、「麻布パケ」。それ以降ニュースにもならなかったので一掃されたのかと思いきや、2020年11月に関係者の初公判が東京地裁で行われたのです。まだ残党がいたんですね。

 被告人はシエラレオネ人の男性。起訴内容は、今年9月に六本木にある被告人の自宅で精神刺激薬(C17H21NO4)を25.945g販売目的で所持したというものです。

 単純な所持だと1g以下の所持がほとんどなので相当な量になります。

 検察官の冒頭陳述によると、被告人は2005年にシエラレオネから日本にやって来て、日本人配偶者の在留資格で日本に滞在しているとのこと。別件の容疑で警察官が被告人の自宅を家宅捜査したところ、キッチンの下から本件容疑に関わる白色粉末の薬物が入ったパケ92袋が見つかったという。それ以外にも複数の違法薬物が部屋の中から発見されて、600袋以上が押収されたということです。それだけじゃなく、冷蔵庫の中には現金100万円が入れてあったそうな。

 起訴されてる25.945gでも大量過ぎて驚きなのに、パケ600袋って!ここアジトなんじゃないの?1kgとか出てきてもおかしくないもんなぁ。お金を入れてる場所も不自然だし。ホント逮捕されてなかったら、これだけの違法薬物が世に放たれてた訳ですからね。恐ろしい…。

 実はこの部屋は被告人じゃなく女性の部屋だそうで、その女性は取り調べに対し「被告人に合鍵を渡していて、自由に出入りさせていた」と供述しているんだとか。名前はカタカナだったので日本人女性ではなさそう。被告人は日本人女性と結婚したから日本に滞在してるって話だったのに。この部屋の借主である女性は彼女なのか、情婦なのか。ってか日本人女性と婚姻関係が続いてるのか離婚しているのかも現時点では明かされていません。

 そして被告人は取り調べに対して「友人が4カ月くらい帰国すると言うのでドラッグを預かった。しかし4カ月経っても帰ってこないので勝手にドラッグを売った。ドクロ柄のチャック付きオレンジの袋に、0.3g程度入れて販売していた」と述べているそうです。

 そんな勝手に売っちゃって被告人は怒られないんですかね。ちょっと被告人の今後が心配ですけど。

 被告人の話も聞きたかったんだけど、他の違法薬物を大量に所持しているので当然追起訴が予定されているという事で、初公判はこれにて閉廷。次回は2021年2月に行われる予定。気になる続報はいずれどこかで…。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

大川興業所属のお笑い芸人であり、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載多数。12月31日には東京・スズナリにて恒例イベント「お笑い裁判の歩き方2020」を開催予定。

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