V字回復への秘策!?「いきなり!ステーキ」が打ち出した新メニューに不安の声

 2期連続の最終赤字、アメリカで11店舗を展開していた子会社が破産申請、そしてペッパーランチ事業の売却と、大逆風にさらされ続けてきた「いきなり!ステーキ」。2013年の初出店から店舗数を増やし続け、一時は約490店舗を展開。ところが近隣同士の店舗が客を奪い合うという現象が起きたため、業績は低迷し、不採算店を閉鎖していくこととなった。

「今年12月までの決算でも最終的な損益は40億円以上の赤字になる見通し。業績予想にコロナ感染の第3波は盛り込まれていなかったようなので、さらに厳しい数字になると予測する声も多くあがっています。ここ数年は、店舗数でステーキ業界1位でしたが、2位の『びっくりドンキー』に抜かれる日はそれほど遠くないかもしれません」(経済誌ライター)

 苦境に立たされた「いきなり!ステーキ」が新メニューを打ち出したのは12月1日のこと。公式サイトでも大きく《【全店舗】メニューが新しくなります!【12/1より】》と告知し、愛好家の注目が集まっていた。実食したタウン誌のライターが言う。

「V字回復の秘策として追加された新メニューの中で目を引いたのは880円のワイルドステーキ(150グラム)と770円のグリルチキンステーキ。ただし、ランチタイムでもライスやスープは別。大盛り可のライス、ランチサラダ、ビーフスープは各110円となっており、その3点がついたライスセットは220円で提供しています。一方、最近メディアで取り上げられる機会が増えた『やっぱりステーキ』は同じ150グラムのステーキに加え、スープ、サラダ、ライスの食べ放題がついて1000円(※一部店舗で異なる)ですからね。もちろん、肉質の違いなどもあり、グラム数と価格だけで単純比較はできませんが、一部では『いきなり』でも1000円のセットメニューで対抗するのではないかという期待の声があがっていたので、大々的に打ち出したわりには新メニューには肩透かしの印象がぬぐえません。やはりビーフステーキのセットで1000円の壁は高かったのかもしれません」

 それでも1100円のセットメニューで本格的なステーキが食べられるというのは、かつては考えられなかったこと。現在は椅子を用意する店が大半を占めているが、「立ち食いステーキ」という文化を飲食業界に広めた功績は大きく、巻き返しを期待する声は多い。初出店の時期からひいきにする常連客はこう話す。

「どれだけのグラム数を食べたかを肉マイレージのランキングで競うようなヘビーユーザーはそもそもライスなどを注文しない人が多い。昨今の糖質制限ダイエットの浸透でライスを口にしないという人も増えていると聞きます。安価なセットメニューばかりになってしまうと、そうした肉オンリーの上客が離れていく可能性もあるので、グラム量り売りのようなオーダーカットや肉単体のメニューは残し続けてほしいですね」

 新メニューの開発にはこれからも頭を悩ませることになりそうだ。

※写真はワイルドステーキ(200g)

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