OB訪問アプリを悪用した性的犯罪が急増!?「昏睡状態の就活生を動画に…」

 以前より性ハラ被害などが続出していることから問題視されている「OB訪問アプリ」による性的犯罪がまた起きてしまった。

 この「OB訪問アプリ」とは、就職活動中の学生と有名企業などに勤める社会人をマッチングするもの。就活生が情報収集や、コネクションづくりなどに活用しており、近年の就活生の間ではマストアプリとなっている。

 12月3日、アプリでの出会いを悪用し、私立大3年の女学生に「就活用のPR動画の作成を手伝う」などと持ち掛け、港区赤坂のホテルに誘い、睡眠薬を飲ませて乱暴したとして、就職情報サイトを手がける大手企業子会社の社員が性的犯罪(凖強制)の容疑で再逮捕されることとなった。逮捕された社員のスマートフォンからは昏睡状態の女性数十人の動画が見つかっており、同様の手口で就活生に乱暴を繰り返していたと見られている。

 今件の報道を皮切りに、TwitterなどのSNS上では《同じような事があって被害に遭いかけた》《ホテルで面接練習しようってしつこく誘われた》《身体の写真を送れと強要されたことがある》など、「OB訪問アプリ」を発端に起きたトラブルの数々が投稿されている。就活中にアプリを活用したことがあるという女性はこう語った。

「大学時代サークルに所属していなかった人脈の狭い私にとってOB訪問アプリは大事な情報収集手段でした。憧れの会社の方とアプリでマッチングすることができるうえ、やり取りをしていく中で、会社ウケの良いエントリーシートの書き方や面接突破術を社内の方から教えていただけるというのはとても心強かったです。ただ、今振り返ると、『これって性ハラギリギリなのでは…?』と思うようなことが多かった。夜遅くに、『普段相談に乗ってあげてるからたまには僕の悩みも聞いてほしい』と連絡がきて、『欲求不満なんだ』と、それとなく誘われたこともあります。ただその方のアドバイスのおかげか、第一志望の会社に採用。その社員の方とは晴れて先輩後輩の関係になったのですが、そこからはもう…。『俺のおかげで入社できたんだろ』と、要求がエスカレートしていき、性的な写真を送り付けられたりもしました。性ハラに悩んだ末、1年で退社という選択をせざるを得なくなり…。入社前から練り上げられた主従関係に苦痛しか感じなかった新入社員時代でしたね」

 ネット上では《OB訪問アプリなんて登録する社会人側からしたら女子大生と出会える以外にメリット無い》などの声もあがっているが、果たしてそうだろうか。アプリに登録している男性に話を聞いてみると…。

「実際に社会人側として登録しており、何人かの就活生の相談に乗ったことがあります。自分の就活時代を振り返ると、社内の人間と話ができたらどれだけ良かったかと思うこともあったので、そんな学生さんの力になりたいという気持ちが一番大きいです。あとは若い世代の意見はとても貴重なので、逆に学生さんにアンケート調査などに答えてもらい、僕自身の仕事に役立てさせてもらうこともありますよ」

 立場の弱い学生を狙った痛ましい事件は絶対に許せることではない。就活生たちの気持ちを踏みにじる一部の悪い大人のせいで、一生懸命な学生と善意のOBをつなぐツールが問題視される現状を残念に思う。

(浜野ふみ)

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