草津をはじめ、四万や万座、水上など数多くの名湯が存在する日本屈指の温泉処・群馬県。地元には全国的な地名度はそこまでないが、無料で混浴可能な温泉露天風呂がある。
それは群馬県中之条の「尻焼温泉」。草津から車で30分ほどの場所にあり、数軒の旅館が建ち並ぶだけの小さな温泉地だが、噂となっている混浴露天風呂は宿の浴場ではない。温泉街の中心を流れる長笹沢川の川底から湯が湧き出る、その名も「川の湯」だ。
河川の流れをせき止めて作られた天然の露天風呂で、大きさもちょっとしたプールサイズの規模。一度に100人以上は入れる広さだ。
あくまで普通の一般河川なので入場料は不要。川の隣には屋根付きの小さな露天風呂もあるが、更衣室や休憩所などは用意されていない。そのため、自分の車で着替える人も多いが、駐車スペースの脇にある公衆トイレを脱衣所代わりにする人もいるようだ。
露天風呂といってもただの川なので壁や柵による囲いはなく、周りの車道からは丸見え状態。それでも入浴には湯あみ、または水着が必須といった条件などは設けられておらず、あくまで利用者個人の判断に委ねられている。
さすがにほとんどの入浴客は水着姿だが、なかには一糸まとわぬ姿で入る若い女性も。実は、この尻焼温泉は一部マニアの間では有名で、「見せつけるのが目的では?」と思うようなカップルやグループも少なくない。
筆者も以前、冬場にこの露天風呂に浸かりに訪れたことがあったが、日中なのに生まれたままの姿で入浴する30代らしき女性と連れの男性2名のグループに遭遇。タオルで身体を隠すこともしなかったので驚いたが、
「尻焼にはよく来ますけど、そういう嗜好の方もたまに見かけますよ」と語っていたのは群馬県内に住む30代男性。そのせいか丸出し女性たちの姿を一目見ようと湯に長時間浸かりながら待っている“ワニ族”と呼ばれる男性客も多いとか。
そんな下心を満たす目的で来るのはどうかと思うが、純粋に温泉として人気があるのも事実。ただし、川底は岩や石がゴロゴロして非常に歩きにくい。裸足だと入浴中に滑って転ぶことも多いため、湯の中でも脱げにくいサンダルは必ず持参するようにしよう。
(高島昌俊)